2011 Fiscal Year Annual Research Report
ウガンダ・アルバート湖岸の漁村に生成する共同性――移動と漁労に住まう人びと
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22402043
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Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
田原 範子 四天王寺大学, 人文社会学部, 教授 (70310711)
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Keywords | アルバート湖 / ウガンダ共和国 / アルル人 / 移民社会 / 漁労 / 葬送儀礼 / 儀礼の再編成 / 生活世界の映像記録 |
Research Abstract |
本研究は、東アフリカ・ウガンダ共和国のアルバート湖岸地域における移民社会を社会学的に調査し、移動のなかに数世代に渡って生きている人たちが、異民族と共生するなかで生成する共同性を提示すること、それを通して社会学の生活理論に新たな提言を行うことを目的としている。 本年度は、「フィールド班」「映像編集班」「研究成果還元班」に分かれた連携研究者および研究協力者が、(1)フィールド資料の映像化にかかわる理論の検証、(2)アルバート湖岸におけるフィールドワーク、(3)西ナイル地域の儀礼の映像撮影を実施し、研究代表者が研究を統括した。 (1)は、英国人類学会民族誌映像祭に田原範子・石田佐恵子が、山形国際ドキュメンタリー映像祭に田原範子・石田佐恵子・松居和子・播磨美奈が参加し民族誌映像制作にかかわる資料を収集し、民族誌映画制作者との交流を通して、本研究課題の民族誌映像制作についての理論的基盤を確立しつつある。 (2)は、2011年8月に実施し、湖岸管理政策の変化が湖岸に及ぼす状況を観察した。ウガンダ政府の漁労政策を徹底するために組織された実戦部隊が、湖上での取り締まりを強化した結果、漁民たちは魚市場の開催曜日を変更したり、開催場所を隠蔽したりすることで厳しい取り締まりに対処していることが明らかになった。漁民の柔軟な生活戦術を明らかにすることができた。 (3)は、2011年8月(ミエル・アグワラ第二回会合)、2011年12月~2012年1月(ミエル・アグワラ第三回会合)、2012年2月~3月(セレワ儀礼)に、田原範子・岩谷洋史・柏本奈津が参加し、儀礼の準備過程と儀礼を撮影した。映像のフッテージを、調査地で上映することで、被調査者と研究成果の共有をする方向性が得られたと同時に、来年度にむけて制作編集を進める礎を作ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)異民族と共生するなかで生成される共同性について、社会学的調査を実施することができている。しかし、社会学の生活理論への新たな提言については、準備段階にある。 (2)アルル文化の一端を担う宗教儀礼の映像資料をすでに収集した。しかし、編集作業は端緒についたばかりである。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)国内外の研究会および学会に積極的に研究成果を報告することを通して、移民社会における生活理論の深化を図る。 (2)民族誌映像祭への出展を視野に入れて、日本とウガンダの連携研究者および研究協力者たちと共に、映像資料の編集を実施する。 (3)アルバート湖のフィールドワークを、漁労省の役人、漁労組合の漁民、一般の漁民とともに継続する。
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Research Products
(5 results)