2011 Fiscal Year Annual Research Report
MOA II 1.8m望遠鏡によるマイクロレンズ事象の探索
Project/Area Number |
22403003
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
阿部 文雄 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 准教授 (80184224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 浩次 長野工業高等専門学校, 一般科, 教授 (20290744)
齊藤 敏治 東京都立産業技術高等専門学校, ものづくり工学科, 教授 (40259833)
松原 豊 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 准教授 (80202323)
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Keywords | 宇宙物理 / 光学赤外線天物学 / 惑星起源・進化 |
Research Abstract |
ニュージーランド・マウントジョン天文台に設置した1.8m望遠鏡によるマイクロレンズ探索を継続し、485個のマイクロレンズ事象を発見した。追尾観測網と協力して、これらの事象を追尾観測し、4個の惑星候補を発見し、国際協力で詳細な解析を実施中である。 これまでに取得したデータの解析も順調に進み、最終結果の出たものから順に結果を公表している。特筆すべき成果としては、浮遊惑星によって引き起こされたと考えられる増光期間が2日以下の事象が10個発見され、こうした惑星が銀河内には通常の星の2倍程度存在することが明らかになったことが上げられる。こうした天体が、いかにして生成したのか、星惑星形成を知る上で重要な発見と言える。こうした天体は、非常に暗く、他の方法では検出が困難だった。マイクロレンズ法で、初めて明らかになった成果と言える。また、M型矮星に付随する巨大惑星の発見(MOA-2009-BLG-387Lb)、M型矮星に付随する海王星の様な氷惑星の発見(MOA-2009-BLG-266Lb)なども大きな成果と言える。また、OGLE-2007-BLG-514事象は、主星の質量が大きく、中性子星の様な星の残骸らしいことをつきとめた。この論文は、印刷中である。 また、バイナリ事象の解析を行い、その質量分布を求めた。その結果、低質量のM型矮星の周りでも褐色矮星は少なく、いわゆる「褐色矮星砂漠」の状態であることを確認した。さらに、マゼラン雲方向のマイクロレンズ事象の解析を実施し、その存在量を求めた。星質量のMACHOはほとんど無く、褐色矮星質量のものが大部分で、ダークマターを説明するには不十分であることが判明した
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
特に、浮遊惑星の発見とその存在量の特定は、当初から計画していたものとはいえ、今後の星惑星形成の研究に与える影響は極めて大きく、そのインパクトは計り知れない。
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Strategy for Future Research Activity |
観測手法は、ほぼ確立しており、順調に実施している。基本的に、現在の手法を継続して実施する。しかしながら、観測中にシャッター幕が破れるトラブルが時々あり、観測を中断しての危険な作業を強いられることがある。これを避けるため、シャッター機構とシャッター幕の改良を試みている。今後も、改良とテストを継続し、トラブルを未然に防ぐ様にする。また、フィルター交換も、迷光を避けるため手作業を必要としていたが、自動化を実施した。まだ試験運用中だが、様子を見て改良しながら観測を継続する。
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Research Products
(14 results)