2011 Fiscal Year Annual Research Report
巨大津波の発生原因を探る~スマトラ北西沖巨大津波発生メカニズムに関する仮説の検証
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22403007
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
平田 賢治 気象庁気象研究所, 地震火山研究部, 主任研究官 (20359128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 晃作 産業技術総合研究所, 地震情報研究部門, 主任研究員 (30356381)
徳山 英一 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (10107451)
木下 正高 海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, チームリーダー (50225009)
弘瀬 冬樹 気象庁気象研究所, 地震火山研究部, 研究官 (90414515)
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Keywords | スマトラ / 津波 / 巨大地震 / 分岐断層 / 海底地形 / 反射法 / 断層地形 / 断層関連褶曲 |
Research Abstract |
本研究では、海洋調査船による海底地形調査および海上マルチチャンネル反射法探査などに基づき、スマトラ北西沖外縁隆起帯中に推定されている中央スラストなどの分岐断層を調査するとともに、津波の数値計算を用いて、2004年12月26日スマトラ北西沖で生じた巨大な津波の発生メカニズム(第5仮説)を検証することを目的としている. 昨年度は、中央スラストと考えられる断層トレースおよびフランス研究グループが提案している第3仮説でその重要性が指摘されている上部スラストなどを含む、これらの多数の断層地形や摺曲構造に伴う地層の変形構造を調査し、これらのテクトニックな成因とその活動履歴を明らかにするために、平成22年10月~11月にかけて、同海域において、学術研究船「白鳳丸」を用いて、高分解能マルチチャンネル反射法探査などを実施した.予察的な解析では断層地形や断層関連褶曲が海底下数kmまでの地質構造として確認されるとともに、その現在までの音響学的な活動履歴に言及でき得る浅部の堆積層の変形構造をイメージングすることができた. 今年度は、高分解能マルチチャンネル反射法探査データなどの海域調査データの詳細な解析および解釈を進めた。その結果、同海域の外縁隆起帯は基本的には幾重にも連なったseaward-vergentのDuplex構造が卓越していることがわかった。他方、海溝側変形フロント付近では、landward-vergentの衝上逆断層群が発達していることも明らかになった。また中央スラストが発達した逆断層、すなわち分岐断層、であること、さらに同中央スラスト付近の変形は、同断層トレースの少なくとも数カ所以上において、最近生じた可能性があることが認められ、第5仮説で提案したように、中央スラストが2004年12月に運動した可能性があることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画どおり、予定していた海域調査が実施され、スマトラ北西沖外縁隆起帯において高分解能マルチチャンネル反射法探査データが取得され、海域調査データの陸上処理・解釈も、一部を除き、ほぼ終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
海域調査時に取得された音響地層探査(sub-bottom profiler;SBP)データついては、その記録フォーマットが特殊なため、現在もデータ処理を継続中である。音響地層探査は、高分解能マルチチャンネル反射法探査よりも、海底下の浅い部分までしか探査できないが、その探査データは高分解能マルチチャンネル反射法探査データよりも1桁細かい分解能で地層の変形などを識別できる能力を有しており、現在実施中の音響地層探査データの処理がうまく行けば、さらに細かな堆積層の変形状況や変形履歴が明らかになるかもしれない。 今後は、音響地層探査データの処理結果を待って、スマトラ北西沖外縁隆起帯の最終的な変動・変形状況をまとめるとともに、観測された津波データを説明可能な津波波源モデルについて検討を行う。
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Research Products
(7 results)