2010 Fiscal Year Annual Research Report
国内で被害未確認の神経毒生産渦鞭毛藻の検出法開発と有毒成分の解明
Project/Area Number |
22404006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐竹 真幸 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (90261495)
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Keywords | 赤潮 / 渦鞭毛藻 / マウス致死毒性 / 細胞毒性 / ポリオキシ化合物 / NMRスペクトル |
Research Abstract |
ニュージーランドウェリントン湾で赤潮を形成し、大量の魚類斃死とヒトに対する健康被害を引き起こした渦鞭毛藻Karenia brevisulcataの培養藻体をアセトン抽出した。抽出液を希釈し、HP-20カラムに通過させた。カラム吸着物をアセトンで溶出させ、抽出物を中性条件下でクロロホルムと水による二層分配を行なった。クロロホルム層をsep-pakジオールカラムで精製した。有毒成分を含む画分をC30カラムを用いた逆相カラムクロマトグラフィーにより精製した。C30カラムによる精製を繰り返し、4種の有毒成分を単離した。精製は、マウスリンパ腫細胞P388に対する細胞毒性を指標に行なった。もっとも収量の多かった成分のMALDI MSを測定したところ[M+Na]^+イオンが2076に観測され、有毒成分が分子量2000以上の化合物である事を明らかとした。有毒成分は、重メタノールに対する溶解性が乏しかったため、重ピリジン中でNMRスペクトルを測定した。プロトンNMRスペクトルでは、11本のシングレットメチルと2本のダブレットメチル、5本のオレフィンシグナルが観測された。3-5ppmの間にオキシ炭素に結合した多数のプロトンシグナルが観測され、有毒成分がポリオキシ化合物である事が示唆された。単離した有毒成分は、強力なマウス致死毒性と細胞毒性を示した。腹腔内投与によるマウス致死毒性は有名なフグ毒テトロドトキシンと比較しても、わずかに弱いだけであることを明らかとした.
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