2012 Fiscal Year Annual Research Report
大陸河川が氾濫原の肥沃化ならびに植生環境に与える影響について
Project/Area Number |
22404008
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
風間 聡 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50272018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅田 信 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10447138)
大村 達夫 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30111248)
中野 和典 日本大学, 工学部, 准教授 (30292519)
真砂 佳史 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50507895)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | メコン河 / 栄養塩 / 農業生産 / 持続可能性 / 不等流モデル |
Research Abstract |
栄養塩輸送モデルにより計算されたリン濃度は,現地観測の結果と比較して概ね良好な結果である.栄養塩輸送モデルにより計算された年間リン沈降量を示す.河岸部において,栄養塩沈降量が多いことが分かる一方,メコン河とバサック川に囲まれた地域は浸水期間が長く浸水深が大きいにもかかわらず,年間沈降量は氾濫原の端部と同程度である.これは,メコン河とバサック川に囲まれた地域は,人口が少なく発生する負荷が少ないことに加え,水量が豊富なため栄養塩濃度が薄くなり,氾濫原の端部と比較して栄養塩濃度が低いためである.以上より,氾濫原の端部は,浸水期間は限られるが栄養塩量濃度の高い氾濫水が存在し,効率よく氾濫水中の栄養塩を利用できると考えられる.この結果は,メコン河とバサック川に囲まれた地域は水量が豊富であるにもかかわらず,水田等の農地が少なく,氾濫原の端部に農地が多い現状を説明し得る. 氾濫原における主な動植物による栄養塩の吸収量を概算すると,魚類による吸収が15~23kg/km2,稲による吸収が390kg/km2 となる.氾濫原の端部においては,稲一期作が多いのに対し,メコン河やバサック川の河岸部においては,乾季にトウモロコシや唐辛子等を育てる二毛作が行われている.トウモロコシによる栄養塩の吸収量は1800~2700kg/km2 である.その他雑草や樹木等による吸収量もあるが,魚類・稲・トウモロコシによる吸収量と栄養塩沈降量を比較すると,河岸部においてのみ二毛作が可能であることが分かる.また,人や家畜からの負荷をゼロとして計算を行うと,栄養塩の沈降する領域は河岸部およびメコン河とバサック川に囲まれた地域に限られる.現在はボロ出しである人や家畜からの負荷が,今後の発展に伴い処理されるようになると,氾濫原の端部においては農業の持続可能性が脅かされる可能性がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である地域的な栄養塩循環については解明した.
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Strategy for Future Research Activity |
地域の栄養塩循環を把握するために,より詳細な観測と数値モデルの構築を行う必要がある.点源についてはいくつかの既往のデータに基づいた数値モデルと観測データの比較を行い,より詳細な負荷源を推定していく.
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Research Products
(8 results)