2011 Fiscal Year Annual Research Report
気候変動によるアジアの脆弱な水供給システムへの影響評価手法の確立
Project/Area Number |
22404012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
滝沢 智 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10206914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小熊 久美子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (00361527)
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Keywords | 気候変動 / 脆弱性評価 / 水供給システム / アジア / 水質汚染 |
Research Abstract |
本研究はアジアの研究対象地域及び日本国内において、水供給システムの脆弱性を評価するため、水源、浄水処理、給配水の脆弱性要因に基づいた脆弱性評価指標を作成することを目的としている。そのため、本年度は特にベトナムのハノイ地域において、約170世帯の水利用状況について訪問調査を実施した。その結果、以下のようなことが明らかになった。 1)まず、ハノイ郊外の農村部の集落であるTien Yen(TY)では、全ての世帯が地下水を利用するとともに67%の世帯では地下水以外の水源、たとえば雨水を併用していた。90%の世帯では砂ろ過設備を有しており、逆浸透(RO)処理設備があるのは18%であった。 2)都市化が進行中の集落であるNgocHoi(NH)では、水道の普及率が低いため、水道のみを利用する世帯は39%であり、47%の世帯は二つの水源を、、14%の世帯は3つの水源を利用していた。55%の世帯は家庭用の地下水を利用しており、そのうち73%は砂ろ過設備を備えていた。 3)都市化が進んだTan Mai(TM)では、水不動普及率が100%であるが、58%の世帯が逆浸透膜やセラミック膜などの家庭用浄水器を利用していた。この割合は、TY(18%)やNH(37%)よりも高く、都市化が進み水道の普及率が高まるにつれて家庭用の浄水器を利用する割合が上昇していた。これは、水道に対する顧客の満足度がぐ農村部(68%)咽に比べて、都市化が進行しつつあるNH(48%)や、都市化が完了したTAM(50%)と低かったことが、影響していることが考えられた。家庭用浄水器による砒素の除去率は、RO膜処理で65%~95%以上、砂ろ過で平均63%の除去率であったが、施設によってばらつきが大きかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アジアにおける主要な調査地域としてハノイ市およびその近郊を設定し、調査の体制が整った。これにより日本国内での気候変動による影響調査と並行して調査を進めることができるようになった。それ以外にも、情報提供、あるいは水質分析サンプルの提供をいただける地域が拡大してきており、研究終了までには十分な成果が出せると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続きベトナムのハノイ市を対象として、水供給システムの脆弱性因子を多面的に評価し、脆弱性評価指標の開発を行う。同時に、ハノイ以外のアジア地域や、日本の気候変動の影響を受けやすい地域を選んで指標を当てはめ、脆弱性評価手法め妥当性について検討を行う。
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[Journal Article] Occurrence and formation potential of N-nitrosodimethylamine in groundwater and river water in Tokyo2011
Author(s)
Huy, N.V., Murakami, M., Sakai, H., Oguma, K., Kosaka, K., Asami, M., Takizawa, S.
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Journal Title
Water Research
Volume: 45
Pages: 3369-3377
DOI
Peer Reviewed
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