2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22404020
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
柏木 裕之 早稲田大学, 総合研究機構, 招聘研究員 (60277762)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 古代エジプト / 岩窟 / 掘削技術 / 復元 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度はアブ・シール南丘陵遺跡およびギザ地区クフ王第2の太陽の船遺跡の2遺跡において現地調査を実施した。 アブ・シール南丘陵遺跡では岩を掘りぬいて作られたイシスネフェルトの墓を対象に、岩盤掘削工程の復元と石棺の搬入方法について検討した。この墓の石棺は埋葬室の隅の押し込まれており、壁と石棺が接する部分の互いの面の詳細については不明であった。そこで平成26年度、石棺を移動することとし、その作業を通じて各々の面の様子を観察することができた。 クフ王第2の船は、岩盤を矩形に穿った「船坑」内に解体された船が当時のまま残る遺跡で、その取り上げ、復元考察を行った。船坑は、断面がT字形となるよう上下二段に穿たれ、幅の狭い下段には解体した船の木材が、幅の広い上段には蓋石が据えられている。下段の船坑の壁面には赤色の水平線と寸法値を含む書き付けが残されており、その意味と役割について考察を試みた。検討の結果、水平線は蓋石がのる平坦面(テラス)を水平に仕上げるための基準線であった可能性が高く、書き付けの寸法値はテラスの幅を指示した内容であったと考えられた。すなわち船坑の掘削は幅の広い上段から下段へ進められたのではなく、まず下段の掘削が行われ、その壁面に赤色の水平線と書き付けが記載された後、その指示に沿って船坑の幅を広げられ、テラス面が作られたと考えられた。さらにこうした手順が踏まれた理由として、掘削が完了したテラスに順次蓋石が設置されたため、整形されたテラス面が基準面として用いることが困難であり、基準となる水平線を別に用意したと考えられた。一連の考察結果は日本オリエント学会において口頭発表した。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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