2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22405006
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Section | 海外学術 |
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
久保田 康裕 琉球大学, 理学部, 准教授 (50295234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎木 勉 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10305188)
吉田 俊也 北海道大学, 学内共同利用施設等, 教授 (60312401)
平尾 聡秀 東京大学, 農学生命科学研究科, 講師 (90598210)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 北方林 / 山火事 / 生物多様性 / 生態系管理 / 生物群集 |
Research Abstract |
北方域の気候変動や森林施業による人為インパクトは、将来的な北方林の資源動態に大きな影響を及ぼしつつある。本研究では、北方域の針葉樹林帯における山火事撹乱の強度・頻度の変化が、木材資源動態に及ぼす影響を、空間点過程や角度統計などの統計モデル、個体ベースの森林動態シミュレータで分析した。昨年度は、北欧において2回の海外調査を行った。その際、ヘルシンキ大学とフィンランド森林研究所においてセミナーと共同研究の会議を行い、共著論文の執筆計画を確定した。さらにヘルシンキ大学の共同研究者を日本に招聘し、共同でデータ解析と論文執筆を行った。また、一昨年度に計画の一部変更を行い、繰り越した予算によって、北欧の樹木種の機能特性に関する化学分析も行った。昨年の具体的な研究実績は以下の通り。 1,北方林の樹冠動態を、日射角度に対する応答と個体間競争の相対的重要性に基づいて解明した。この研究では、北方林の林冠成長を光資源を巡る採餌戦略と捉え、北方林構成種の樹冠成長を角度統計を用いた新規的な統計モデルで解析した(現在投稿準備中)。 2,北方林の生物多様性を特徴づける指標群集として地衣類に焦点をあて、そのベータ多様性を用いて森林管理インパクトの評価を行った(現在投稿準備中)。 3,森林管理研究に群集生態学における種の集合理論を導入することを検討した。近年、生物多様性の創出機構として群集集合理論が注目を集めており、保全等の応用研究への適用が重要課題となっている。この研究は、伐採インパクト(施業に対する生物多様性の応答)を定量するために、群集集合理論を帰無モデルとして導入する可能性を示し、幾つかの事例解析を行った(現在投稿準備中)。 4)フィンランドの国レベルの森林センサスデータを用いて、マクロスケールで森林施業インパクトを評価することを開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
主にフィンランドを中心とした野外調査を行っている。ヘルシンキ大学およびフィンランドの森林研究所の共同研究者の協力もあり、予定以上に研究が進捗している。現在、投稿準備中の論文が3編、データ解析中の論文が3編ある。今後は、これらの論文を専門雑誌に発表できるよう研究を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
海外の共同研究者との連携を密にして、調査や実験を効率的に行うようにする。また、論文原稿の改訂も、電子メールなどを用いて頻繁に行うことで内容の質を向上させ、インパクトのより高い専門雑誌に発表できるようにする。
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