2011 Fiscal Year Annual Research Report
周極要素植物の緯度傾度に伴う環境適応と進化多様性形成
Project/Area Number |
22405013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
瀬戸口 浩彰 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (70206647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 紀行 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (40305412)
東 浩司 京都大学, 理学研究科, 助教 (50362439)
池田 啓 独立行政法人国立科学博物館, 筑波実験植物園, 研究官 (70580405)
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Keywords | フィトクロム / アブラナ科 / マメ科 / 花成 / 環境適応 |
Research Abstract |
本研究では、光受容色素タンパク質(フィトクロムやクリプトクロム)などの花成に関与する遺伝子が、南北に長く起伏に富んだ日本列島の中で高緯度~低緯度、高標高~低標高の環境傾度の中で、どのように適応して機能分化を起こしており、これが種内の進化多様性にどのように寄与したかについて解析を行った。これまでに申請者らが研究で蓄積してきた「植物の分子系統地理学」の知見を生育環境への適応進化の観点から検討すること、換言すると、植物の進化多様性を形成する機構をゲノムレベルで解明して推進することを目的とするものである。本年度は、ミヤマタネツケバナとCardamine bellidifolia、ミヤコグサ、ダイズの野生種であるツルマメを用いて、フィトクロムやクリプトグロムが、高緯度~低緯度、高標高~低標高の環境傾度の中で、どのように適応して機能分化を起こしており、これが種内の進化多様性にどのように寄与したかについて解析を行った。ミヤマタネツケバナとC.bellidifoliaは共通祖先から種分化を起こした姉妹群であるごとを確認した上でC.bellidifoliaは北海道よりも北に分布する)、PHYE遺伝子だけが、中部山岳vs.東北北海道・C.bellidifoliaの二型に分化していた。これに-は日本の中部山岳の環境特異性(高山植物の分布として極端に南に位置する)が関与していると考察された。また、ツルマメの国内産地間では、-クリプトクロム遺伝子が馴化淘汰を受けている一方で、フィトクロム遺伝子や概日時計系遺伝子に変異が見出された。ミヤコグサでは、PHYA,PHYB,PHYEの機能中枢部位に非同義的置換が蓄積しており、これらが地理的な構造を持たずにstandingvariationとして種内に保持されている状況が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究の過程で、思いがけず概日時計系遺伝子群の関与が見出されて、次のステップの研究に進展ができることになった。本研究の当初目的では、フィトクロム分子の性質を南北間(中部山岳と東北・北海道)で比較すること、ならびに組み換え体作成による表現形質(開花期)の変化までを検証したかったが、まだ途上にある。しかし単年度だけでも4本の論文が公表され、さらに現在も3本の論文が査読途中である。単年度で7本の関連論文の作成に至ったことは評価していただけると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
この研究は、引き続いて平成23年度から始まる基盤研究Aのなかで継続することができる見込みになった。ようやく植物培養装置などの基幹備品が十分に揃えることができるので、組み換え体作成による表現形質(開花期)の変化までを検証したい。
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Research Products
(8 results)