2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規防除技術の展開に向けた検疫害虫ミバエ類の原産地における生態特性の解明
Project/Area Number |
22405019
|
Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
沢田 裕一 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (90259391)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 隆義 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (60208189)
塚田 森生 三重大学, 生物資源学部, 准教授 (20273352)
|
Keywords | B.carambolae / B.papayae / 簡易判別法 / 寄主選択 / 産卵特性 / 捕食寄生者 |
Research Abstract |
(1)B.carambolaeとB.papayaeの簡易判別法の開発 腹部背板の数ヶ所と前翅の数ヶ所の形態を数値化し判別分析を行うことにより、この極めて近縁な2種を区別する新しい簡易判別法を開発した。成果の概要について学会発表を行うとともに、学術雑誌に論文として投稿した。この2種を判別する方法としては、ペニス長(またはペニス/体長比)(メスでは産卵管長)を用いるのが一般的であるが、本研究では、マレーシアなどでの研究例に比べB.carambolaeのペニスが相対的に長く、その結果、ペニス長による判別は困難であった。今後、ペニス長(及び産卵管長)の地理的変異について調査するとともに、繁殖生態や寄主選択との関連について検討したい。 (2)野外におけるミバエ類の寄主選択:特に果実の標本抽出調査について B.carambolaeとB.papayaeの2種では、それぞれ100種以上の寄主植物が知られ、著しい広食性を示すといわれる。しかし、これまでの調査の結果、マンゴーから羽化する個体の大部分(80~90%以上)はB.papayaeであり、スターフルーツから羽化する個体の大部分はB.carambolaeであることが明らかになった。またマンゴーに寄生するB.papayaeでは、果実当たりのミバエ羽化数が著しい集中性を示した。このことは、B.papayaeの産卵特性がB.carambolaeのそれとは大きく異なることを示唆しており、今後の重要な研究課題である。 (3)個体数変動に関与する要因;特に幼虫期の捕食寄生者について スターフルーツから脱出して蛹化したミバエのうち、5~20%が幼虫期に寄生する捕食寄生者によって死亡することが明らかになった。他方、マンゴーについては、すでに2,000個体以上の蛹を調査したにもかかわらず、捕食寄生者の羽化は、1個体も観察されていない。マンゴーのミバエが捕食寄生者に寄生されない理由について、その原因がミバエ(B.papayae)にあるのか果実(マンゴー)にあるのか今のところ不明であるが、今後、理解すべき重要課題である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年8月頃から徐々に、主要な研究活動の場をパジャジャラン大学から農業省病害虫予察センターに移した。予察センターからは、ミバエ研究専用の実験室を提供され、また1名の責任者(研究マネージメント)と3名の専属スタッフが配置され(必要に応じてアルバイトとして雇用する)、研究条件は著しく改善された。
|
Strategy for Future Research Activity |
拠点研究施設をパジャジャラン大学から農業省病害虫予察センターに移すことで、実験室での研究条件だけでなく、野外調査や野外操作実験の条件も大きく改善された。現在の主要な野外調査地である農業省果樹実験林(西ジャワ州スバン県)は、予察センター、パジャ大、いずれからも遠いため(車で約2~3時間)、この調査地を廃止し、現在、予察センターの近くに新しい調査地(西ジャワ州プルワカルタ県)を設置しつつある。また予察センターの敷地内には、マンゴー、グアバなどミバエの食樹が多数植栽され、ミバエ密度も比較的高いので、野外操作実験は予察センターの敷地内でも実施可能である。
|
Research Products
(2 results)