2011 Fiscal Year Annual Research Report
インドシナ地域における高毒性およびジェネリック農薬の利用実態と潜在的リスクの評価
Project/Area Number |
22405021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
赤松 美紀 京都大学, 農学研究科, 准教授 (70183134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 樹 京都大学, 総合地球環境学研究所・研究部, 准教授 (10231408)
宮下 正弘 京都大学, 農学研究科, 助教 (80324664)
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Keywords | タイ / ベトナム / ジェネリック農薬 / 残留農薬 / 環境 / リスク評価 |
Research Abstract |
タイやベトナムなどインドシナ地域では、急速な経済発展のもと食や暮らしの安全が脅かされている。本研究の目的は、タイ、ベトナムのインドシナ地域において、高毒性農薬やジェネリック農薬の利用実態を把握し、不純物を含め、問題となる農薬の環境における動態(分解など)を明らかにし、その結果および安全性情報に基づいて、それらの潜在的リスク、すなわちヒト、環境、他の生業(養殖業など)に対するリスクを正当に評価することである。 ベトナム中部フエ省における、海岸近くで主に米を栽培しているコミューンと山側で野菜を栽培しているコミューンの2箇所の農家の詳細な聞き取り調査を継続した。調査の結果、前年度と同じ農薬が頻繁に使用されていることがわかったため、対象地域の土壌中のこれらの農薬の残留分析を行った。また、採取した土壌の性質について検討したところ、土性および地形と農薬残留との間に関係のあることが明らかとなった。 タイの農薬会販売会社、農業省、「食品と農産物に対する研究センター」を訪問し、再登録された農薬についての情報を得た。平成23年9-12月頃にタイ中部で発生した大洪水のため、バンコック北部にあるタイ・農業省の建物が大被害を受け、1ヶ月に渡って登録作業が中断したため、平成24年3月時点で再登録された農薬は非常に少なく、再登録前の1%程度にすぎないとのことだった。平成23年8月の再登録性度開始より2年間は、それまでに登録された農薬を使用できるが、それ以降は使用できないため、今後も再登録農薬についての情報を得ることとした。また、引き続き、ターチン川流域の農家を訪問し、使用農薬についての情報を得るとともに、水田および畑の土壌を採取し、残留農薬分析を行った。その結果、タイでは使用を許可されていない農薬が使用されている実態が見えてきた。これまでの結果について、タイ・カセサート大学で講演を行い、議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年度にタイにおいて暴動が起こり、研究計画を変更してベトナムの調査を先に進めたが、現在では、当初の目的通り、ベトナムおよびタイの調査地域における農薬の使用実態を把握することができているとともに、環境中の残留農薬についての情報も得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までにおおむね、研究が順調に進展しているため、研究実施計画通りに研究を推進する予定である。ただし、タイにおいて、予期していなかった平成23年8月の農薬再登録開始後、大洪水発生のため実際の再登録がかなり遅れており、今後の状況によっては、タイのジェネリック農薬に関する調査が困難となる可能性がある。その場合には、タイで使用を許可されていない農薬の使用実態について、詳しく調査することとする。
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