2011 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト京都議定書における熱帯林の活用と固定炭素の持続性に関する研究
Project/Area Number |
22405025
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
天野 正博 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (60353562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 直人 三重大学, 生物資源学部, 教授 (30332711)
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Keywords | 地球温暖化 / 京都議定書 / 森林減少 / キャパシティ・ビルディング / REDD / CDM |
Research Abstract |
気候変動枠組み条約での重要な取り組みの一つとして、森林の吸収量を促進することにより、大気中の温室効果ガス(GHG)を削減、あるいは森林の消失によるGHG排出量の削減を取り上げている。ポスト京都議定書では熱帯林の消失防止が重点課題となっている。しかし、世界では10億人前後の人々が森林に依存して生活しており、彼らに不利益にならない形で森林保全策を講じる必要がある。 本課題では日本の政府機関が温暖化対策事業を実施しているインドネシア国中央カリマンタン、ラオス国ルアンプラバン県、カンボジア王国、ベトナム国ホアビン省に研究サイトを設定し、森林保全策を実施する場合に地域住民にどのような配慮が必要かを調べた。上記の研究対象地で今年度得られた主な成果は下記のようである。 1)政府が森林保全政策を実施する前段階として必要な住民へのキャパシティ・ビルディング 3分野におけるキャパシティ・ビルディングが必要であることが解った。それはa)生計向上のための能力、b)土地利用計画を住民参加型で策定する能力、c)森林保全活動を実施するための能力 2)住民の組織化とそれを促す経済的インセンティブ インドネシアにおいてもっとも深刻な森林減少のドライバーはオイルパーム農園の拡大である。貧困に苦しみ雇用の場を捜している農民にとって、オイルパーム企業に農地を売却しそこで働くことは魅力のある選択である。しかし、農園は湿地林地域にも進出し農園化に伴うGHG排出量は、インドネシアを世界第3位のGHG排出国に押し上げている。ここでは、大規模な森林火災後に侵入してきたメラルーカ林が農地拡大の障害となっている。そこで、メラルーカ林の材質を調べたところ、木材資源として十分に使用できることが判明した。また、一斉林として存立していることから商品価値も高いことが解った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究サイトでの各調査を順調に実施でき、成果はポスト京都議定書を活用した我が国の熱帯林保全政策や、JICAの森林保全活動に反映できるなど、研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は政府で議論されている二国間メカニズム(Bilateral offset/Carbon Mechanism)に反映できるよう、成果の公表を早める予定である。
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