2011 Fiscal Year Annual Research Report
凍土深の変動が森林炭素蓄積量と林床構造・機能に及ぼす影響の評価
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22405027
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
松浦 陽次郎 独立行政法人森林総合研究所, 国際連携推進拠点, 室長 (20353857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶本 卓也 独立行政法人森林総合研究所, 植物生態研究領域, 室長 (70353638)
大澤 晃 京都大学, 農学研究科, 教授 (90288647)
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Keywords | 永久凍土 / 北方林生態系 / 林床堆積有機物 / 蘚苔地衣類 / 現存量 / 森林構造 |
Research Abstract |
永久凍土の不連続分布域に位置するアラスカ内陸部フェアバンクス周辺(65N-1247W)のトウヒ林生態系と、永久凍土の点状分布域に位置するカナダ北西準州フォートスミス周辺(60N-113W)のトウヒ林生態系において、土壌タイプ、堆積有機物層厚、林床の蘚苔地衣類種組成、凍土面深度(または有効土層深度と根圏範囲)、地上部・地下部現存量などに関する比較調査を行った。 氷河の影響を受けなかったアラスカ内陸部の台地上では、北向き斜面に永久凍土が分布し、風化した片麻岩の岩屑を母材とするシルト~粘土質の土壌が生成している。一方カナダ北西準州のトウヒ林生態系が成立する平坦面では、氷床下および氷床融解後の氷河湖成堆積物を母材とする、砂質~シルト質の土壌が生成している。どちらの地域も年降水量は300~400ミリ程度のため、森林にはポドゾル性土壌はほとんど分布しない。深さ1mまでの鉱質土層に集積している有機炭素量を比較した場合、アラスカ内陸部とカナダ北西準州に見られる大まかな傾向としては、砂質土壌の土壌有機炭素蓄積量はシルト~粘土質土壌の蓄積量より少ない。 アラスカ内陸部の台地上に分布するトウヒ林生態系で、細根を含む地下部現存量の推定を行った。地上部現存量と地下部現存量の重量比は、およそ2:1であった。このような地下部への資源投下の様態は、永久凍土地帯に共通する現象であることが、中央シベリアの永久凍土連続分布域のカラマツ林の結果とあわせて確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の研究対象地域は、現地調査時期が6~9月に限られている。2011年度はカナダ北西準州の現地調査を予定していたが、調査地点の気象条件が急激に変化したため、繰越して2012年度に現地調査を行った。結果として、アラスカ内陸部とカナダ北西準州の現地調査は遅滞なく進み、データの蓄積が着実にされている。
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Strategy for Future Research Activity |
堆積有機物層の起源(落葉・蘇類・苔類・地衣類)とその分解速度、また堆積有機物層と鉱質土層の境界に分布している植物の枯死細根の分解速度を決定する環境要因を解明する。さらに環境条件に沿った林床のタイプ別けを各地域で行い、周極域森林生態系の共通点と地域特性を摘出する。
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Research Products
(2 results)