2012 Fiscal Year Annual Research Report
凍土深の変動が森林炭素蓄積量と林床構造・機能に及ぼす影響の評価
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22405027
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
松浦 陽次郎 独立行政法人森林総合研究所, 国際連携推進拠点, 室長 (20353857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶本 卓也 独立行政法人森林総合研究所, 植物生態研究領域, 領域長 (70353638)
大澤 晃 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (90288647)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 周極域森林生態系 / 永久凍土 / 蘚苔類 / 林床 / 炭素蓄積量 |
Research Abstract |
アラスカ内陸部のカリブポーカークリーク集水域試験地(北緯65度西経147度)の北向き斜面に成立したトウヒ(Picea mariana)林と、カナダ北西準州、ウッドバッファロー国立公園(北緯60度西経113度)のトウヒ林を対象に、林床の蘚苔地衣類の種組成比較と堆積有機物層厚比較、地下部根系の現存量推定、根呼吸の測定を行った。 永久凍土の不連続分布域に区分されるアラスカ内陸部では、台地上のトウヒ林は北向き斜面の凍土が分布する立地条件で優占している。夏季に凍土面が位置する深さ(夏季に凍土の表層部分が融解する層厚)は、これまでに得られた傾向と同様に、凍土の融解水が側方・下方移動によって集まる斜面下部で凍土面は浅く、盛夏でも30cm程度であった。このような立地条件では林床の蘚苔地衣類ではミズゴケが優占し、堆積腐植層の厚さは20~50cmに達していた。永久凍土面が浅い斜面下部では、低い地温条件にもかかわらず、盛夏期間中には呼吸速度は大きく変化していた。 カナダ北西準州イヌヴィク周辺のトウヒ林は永久凍土の連続分布域に成立している。林床に優占する蘚苔地衣類が、凍土の点状分布域のトウヒ林、マツ林とは異なり、イワダレゴケ(Hylocomium splendens)が優占する林床タイプで、林床の堆積有機物層厚は10~30cmであった。永久凍土の点状分布域に区分されるカナダ北西準州ウッドバッファロー国立公園周辺のトウヒ林では、凍土面に特有な明瞭な硬度変化が認められなかった。 森林の構造変化を解明するための樹幹試料をアラスカ内陸部のトウヒ林で採取し、年輪解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アラスカ内陸部とカナダ北西準州の調査地においては、現地調査は順調に進捗している。ロシアの中央シベリアの調査地については、採取試料の持ち出しが禁止されているため、共同研究機関のスカチェフ森林研究所に現地調査の同行と試料処理を依頼している。これらのデータは順調に蓄積されているので、当初計画した、凍土地帯の森林生態系における炭素蓄積量、炭素動態に関わる林床の機能と構造の役割解明という研究目的は、4カ年の研究期間の3カ年度を終了した時点で、達成度80%と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度のとりまとめを進めると同時に、補完すべき地下部、細根、林床有機物の新たな区分法の確立に向けて現地調査を行う。
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Research Products
(10 results)