2010 Fiscal Year Annual Research Report
ミャンマーとタイ北部における家畜寄生虫症の分子疫学と抗寄生虫薬用植物の探索
Project/Area Number |
22405037
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
片倉 賢 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10130155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 達也 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教 (60547777)
宮崎 智史 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 博士研究員 (20547781)
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Keywords | ミャンマー / 寄生虫 / 薬用植物 / バベシア症 / タイレリア症 / トリパノソーマ症 / 衛生昆虫 / 疫学 |
Research Abstract |
本研究は以下の目的を達成するために計画された。(1)ミャンマー各地域およびタイ北部における家畜寄生の血液原虫類(タイレリア、バベシア、トリパノソーマなど)および蠕虫類(肝蛭など)の流行状況を明らかにする。(2)ミャンマーおよび北部タイに分布する家畜寄生虫種の比較・系統遺伝子解析を行い、各種寄生虫の分子進化とインドシナ半島における環境適応機構を考察する。(3)ミャンマーおよびタイ北部における寄生虫媒介節足動物(マダニ、アブ、サシバエなど)の生息種と分布、ならびに寄生虫感染状況を明らかにする。(4)ミャンマーで伝統的に用いられている薬用植物の中から抗寄生虫活性を有する薬用植物を探索し創薬に向けた基礎研究を行う。 平成22年度はミャンマー北部において調査を実施した。その結果、これまでのミャンマー南部および中央部での調査結果をあわせると、ミャンマーのウシ約500頭に関しては、その約50%がTheileria orientalis原虫に感染していることがPCR検査の結果から明らかになった。また、Babesia bigeminaおよびBabesia bovis原虫のPCR陽性率もそれぞれ21%、37%と高い値を示した。さらに、バベシア原虫を媒介すると考えられる種類のマダニから原虫DNAが検出され、バベシア症の生活環がミャンマー全土で維持されているものと考えられた。一方、ウシの胆管に寄生する肝蛭の採材にも成功し、現在、ミャンマー産肝蛭の系統解析を進めている。薬用植物については、数種類のミャンマー産薬用植物が抗エバンス・トリパノソーマ活性を有することが明らかとなり、今後、活性成分の分離精製を行う予定である。
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Research Products
(5 results)