2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22406001
|
Section | 海外学術 |
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
塚本 佐知子 熊本大学, その他の研究科, 教授 (40192190)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 熱帯サンゴ礁 / 薬用海洋資源 / 調査研究 / 海綿 / ホヤ / スクリーニング |
Research Abstract |
インドネシアの北スラウエシ州において、平成24年8月30日~9月8日の日程で海洋無脊椎生物の採集と生物からの真菌の単離を行った。今回の採集では、海綿やホヤなどの無脊椎動物を185種類採集した。採集した生物は直ちにEtOH漬けにし、順次、サムラトランギ大学においてEtOH抽出している。ある程度の数がまとまった段階で、日本に輸送する予定である。現在、熊本大学において無脊椎動物および生物から分離した真菌の培養液からスクリーニング用サンプルを調製し、各種スクリーニングを行っている。スクリーニングの種類は、細胞毒性、抗菌活性、ユビキチン-プロテアソームの各ステップに対する阻害活性、マクロファージ泡沫化阻害活性などである。平成24年度の研究成果は以下の通りである。①2006年に採集した海綿Hyrtios reticulatusから、E1阻害物質であるhyrtioreticulin Aを単離した。IC50値は2.4 μMで、これまでに発見されたE1阻害物質の中で最も阻害活性が強い(Bioorg. Med. Chem.)。②2006年に採集した海綿Lissodendoryx fibrosaから、Ubc13-Uev1A複合体の形成を阻害する新規ステロールダイマーを2個単離し構造決定した(J. Nat. Prod.)。③2006年に採集した群体ボヤDidemnum sp.から、p53-Hdm2複合体形成阻害作用を示す新規セリノリピッドを12個単離した(Oeg. Lett.)。④2006年に採集した海綿Stylissa massaから、天然物として初めてUSP7に対する特異的阻害物質としてspongiacidin Cを単離した(Bioorg. Med. Chem. Lett.)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに採集した生物の抽出物から、新規構造を有する化合物や医薬シーズして有望な化合物を単離し、「研究実績の概要」に示す通り、成果を原著論文に発表することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」に示す通り、これまでの研究は順調に進展している。特に、熊本大学で行っている各種生物活性試験の結果を参考にして、有望な生物資源については本年度も収集を行う。GPSで正確な採集場所を記録しているので、同じポイントでの採集が可能である。
|