2010 Fiscal Year Annual Research Report
アジアを席巻する新変異型、新興型ロタウイルス感染症の流行動態と蔓延の分子機序
Project/Area Number |
22406017
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
小林 宣道 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80186759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石埜 正穂 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (30232325)
鷲見 紋子 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10363699)
漆原 範子 札幌医科大学, 医学部, 助教 (80396308)
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Keywords | ロタウイルス / アジア / 新興型 / 遺伝子型 / 系統 / 全ゲノム |
Research Abstract |
本研究は、おもにアジアに分布する新変異型、新興型ロタウイルスの流行動態を把握し、全遺伝子配列の解析により、それらのロタウイルスの系統、由来および新型ウイルスの出現機序を明らかにすることを目的としている。今年度は本研究の最初の年にあたり、共同研究相手国より共同研究の合意を得、特に中国、バングラデシュでは本研究計画に基づく下利便検体の収集、ロタウイルス検出、遺伝子型別が最も効率的に進められている。中国では2000年以来、G3P[8]がロタウイルスの主流行型として持続してきたが、2010-2011年にかけてG3が最多であるものの、その割合は相対的に減少しつつあり、逆にG1の増加傾向が認められた。バングラデシュのロタウイルスについては、従来より最も高頻度に検出されたG2ロタウイルスについて全遺伝子配列の系統解析を行った。その結果、遺伝子分節の一部がこの地域に生息する偶蹄類に分布するロタウイルスのそれに極めて近縁であることを見出し、動物とヒトのロタウイルス間の遺伝子再集合がヒトでの主流行株の形成に関与したことが示唆された。他の国については最近収集が完了した検体を用いた解析およびそこで検出されたウイルス株に対する遺伝子解析を主として実施した。ミャンマーのロタウイルスでは、G3が中国の系統に、G1,G2がインド・バングラデシュの系統に近いことが判明し、また稀なP[8]型の亜型であるP[8]b型を初めて検出した。キューバのロタウイルス株は南米で報告されたウイルス株に系統が近く、また世界的な新興型として知られるG9が最近主流となったことが分かった。B群、C群ロタウイルスについてはアジア各国からの検出株について全遺伝子配列の解析を行ない、遺伝学的多様性がみられる遺伝子分節とその部位を明らかにした。
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Research Products
(9 results)