2011 Fiscal Year Annual Research Report
アジアを席巻する新変異型、新興型ロタウイルス感染症の流行動態と蔓延の分子機序
Project/Area Number |
22406017
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
小林 宣道 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80186759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石埜 正穂 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (30232325)
鷲見 紋子 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10363699)
漆原 範子 札幌医科大学, 医学部, 助教 (80396308)
ゴッシュ ソウビック 札幌医科大学, 医学部, 助教 (30597175)
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Keywords | ロタウイルス / アジア / 新興型 / 遺伝子型 / 系統 / ゲノム |
Research Abstract |
本研究は、おもにアジアに分布する新変異型、新興型ロタウイルスの流行動態を把握し、全遺伝子配列の解析により、それらのロタウイルスの系統、由来および新型ウイルスの出現機序を明らかにすることを目的としている。今年度のおもな成果は以下の通りである。1.日本の関東地方で小児より検出されたKF17株は、新規の遺伝子型G6P[9]-I2-R2-C2-M2-A3-N2-T3-E3-H3を有し、ヒトAU-1遺伝子群と動物(ウシ)ロタウイルスの遺伝子再集合体であると考えられた。2.バングラデシュで分離されたMMC38、MMC71株はP遺伝子型としてP[8]b亜型を持つ。P[8]bはヒトロタウイルスで最も頻繁に見られるP[8]a型の変異型とされる。MMC38、MMC71株の全遺伝子分節はいずれもヒトロタウイルスWa遺伝子群に属していたことから、P[8]bのVP4遺伝子は未知のヒトロタウイルスに由来し、リアソートメントにより導入されたと推定された。3.タイで以前分離されたヒトロタウイルス株Mc323株とMc345株の全遺伝子配列を解析した。これらの遺伝子型はG9P[19]-I5-R1-C1-M1-A8-N1-T1-E1-H1で、殆どの遺伝子分節の配列はブタロタウイルスのそれと高い一致率を示しかつ系統的にも同一であることから、ブタのウイルスが直接ヒトに感染したものであることが推定された。4.G2P[4]はヒトロタウイルスで普遍的によく見られる遺伝子型である。今回ケニアで1980年代に分離されたG2P[4]の2株を解析したところ、VP7、VP4遺伝子以外の遺伝子分節の多くがDS-1遺伝子群に属していたが、一部ウシまたは他の偶蹄類のロタウイルス由来とみられる遺伝子分節が検出された。これは動物ロタウイルスがヒトへ感染し遺伝子再集合体を形成したことを強く示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内、国外の定型株および非定型株の解析が予定通り進められ、それらを報告した英文論文を6報発表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
定型的ロタウイルス株については、研究対象となる株を増やしてフルゲノム解析を行い、近年の遺伝子変異の状況を明らかにする。非定型株については、P[9],P[10]などヒトでは稀なP型を有するヒトロタウイルスについて解析を行う。
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Research Products
(9 results)