2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22406018
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
矢野 栄二 帝京大学, 医学部, 教授 (50114690)
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Keywords | 石綿 / クリソタイル / 中国 / 肺がん / 胸膜悪性中皮腫 / 喫煙 / 相乗作用 |
Research Abstract |
中国重慶市の石綿製品製造工場で以下の調査を行なった。 ①石綿の繊維数濃度と重量濃度の平行測定の結果からは,繊維数曝露評価のために広く行われている後者による前者の推計は不可能なことが示された。 ②疫学調査では1975年から2008年までの37年間追跡した結果を発表するとともに、同工場作業者の中で2001年までに見出された41人の男性肺がん患者をもとに症例対照研究を行なった。その結果、呼吸器疾患、肺がんの増加が示されるとともに、先行研究で言わる肺がん発生における石綿曝露と喫煙の相乗作用が確認された。これらの結果から、石綿の危険性はもっぱらクロシドライトやトレモライトなどのアンフィボールであり、クリソタイルは比較的安全とする、いわゆるAmphibole Hypothesisは、少なくとも肺がんについては成立しないと考えられた。 ③同工場の中皮腫症例の検討において、作業環境中と肺組織内の繊維については前者ではトレモライト(アンフィボール石綿の一種)繊維は極めて少ないが,逆に肺組織内ではほとんどがトレモライト繊維であり、クリソタイル繊維は例外的にしか認められなかった。この逆転、すなわちChrysotile/Tremolite Paradoxについては、作業場での浮遊、気道末梢までの到達、気道排泄性、酸性化したホルマリンでの溶出の4つの説明が考えられ、論文で列挙した。そしてその解明のために、工場内の石綿のサイズと種別についての詳細な解析を現在進めている。 以上の研究に加えて、現在Texti1e Mysteryの解明に取り組んでいる。これは、クリソタイルを産出する鉱山労働者に比べ、同じその石綿を原料として繊維製品などを作る紡績・織布工場で曝露する作業者により多くがんが発生しているという、カナダと米国サウスカロライナ等からの報告が、中国の石綿鉱山と工場でも成立するか否かを検証するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
紡糸紡織などの石綿製品製造工場とその原料である石綿を産出する鉱山でのリスクを比較する計画について、作業者の死亡原因についての疫学調査部分について解析結果をまとめ発表準備を進めている。しかし石綿曝露状況の詳細な調査については、石綿鉱山が外国人の立ち入りを厳しく制限しており、長期の交渉で一時は許可が下りるかと思われたが、ふたたび不許可となったため測定が実施できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
石綿繊維濃度の正確な測定には日本からの調査員の現地入りが欠かせず、引き続き粘り強く石綿鉱山での調査を要請するとともに、中国人を訓練しての代替調査の可能性を検討する。 なお石綿製品工場での疫学調査結果の再解析、同工場での曝露石綿の解析については鋭意進めている。
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Research Products
(4 results)