2012 Fiscal Year Annual Research Report
バングラデシュにおける地下水砒素汚染と児童生徒の知的機能・社会生活能力
Project/Area Number |
22406022
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
稲岡 司 佐賀大学, 農学部, 教授 (60176386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須田 一弘 北海学園大学, 人文学部, 教授 (00222068)
永野 恵 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (10136723)
牛島 佳代 福岡大学, 医学部, 講師 (10336191)
松村 康弘 文教大学, 栄養学部, 教授 (60181757)
藤村 美穂 佐賀大学, 農学部, 准教授 (60301355)
上野 大介 佐賀大学, 農学部, 講師 (60423604)
渡辺 知保 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70220902)
田中 美加 福岡大学, 医学部, 講師 (70412765)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 砒素 / 地下水 / 児童生徒 / 知的機能 / 社会生活能力 / バングラデシュ |
Research Abstract |
半金属である砒素の低濃度長期暴露が、ヒトのメンタル面に何らかの影響を及ぼす可能性についてはこれまでからも指摘され、Wassermanら(2004, 2007)とWang ら(2007)は、それぞれバングラデシュと中国山西省で子供を対象とした疫学調査を行い、砒素暴露によりIQ(Intelligence Quotient)が有意に低下していたと報告した。しかしながら彼らの調査方法論には幾つかの問題点(例えば年齢群の設定、砒素暴露の評価、対象数、IQ評価法など)があったため、我々は、平成22年度から3年間科学研究費補助金を得て、砒素への低濃度長期暴露が学童・生徒のIQや社会生活能力(Social Competence:SC)に及ぼす影響について、バングラデシュ地下水砒素汚染地域で5歳・10歳・15歳前後という3つの年齢群で詳細に検討した。 15歳前後の生徒を対象とした結果では(Nahar and Inaoka, 2012)、高・中・低濃度の3つの砒素暴露群間でIQとSCに有意な差が見られ、IQもSCも高濃度暴露群で低下しており、しかもそれは親の社会経済条件(収入・学歴・職業)の影響を考慮しても有意だった。10歳前後の学童を対象とした調査(Nahar et al, in press)でも同様の結果が得られ、さらに現在分析中の5歳前後の子供でもすでにIQに影響があることが判明した(Nahar et al, in preparation)ことから、砒素に早期暴露されることが後々までIQ等に影響すると考えられた。Conchaら(1998)は砒素が胎盤を通じて母親から胎児に移行することを見出したが、砒素の胎内暴露と乳児(7ヶ月時点)の発達に関連がないこと(Tofailら、2009)から、例えば子供の脳・神経系の発達が完了する3歳までに砒素に暴露されることが非常にクリティカルと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(8 results)