2011 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害者の社会参加効力感とその関連因子の国際比較
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22406037
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
天谷 真奈美 独立行政法人国立国際医療研究センター, 医療情報解析研究部, 研究員 (00279621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 麻揚 西武文理大学, 看護学部, 講師 (60336493)
小林 悟子 独立行政法人国立国際医療研究センター, 医療情報解析研究部, 研究員 (00389800)
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Keywords | 社会参加 / 自己効力感 / 精神障害者 / 国際比較 |
Research Abstract |
本研究は、精神障害者の社会参加促進に向け、精神障害者の社会参加自己効力感とそれに影響を及ぼしうる関連因子について国際比較により、今後の精神医療保健福祉における有用な示唆を得ることを目的とした日・中・米比較調査研究である。 2年目にあたる本年は、文化的な類似性の高い中国に絞って、わが国との国際比較を行う方針とした。研究協力の得られた中国河南省にある鄭州第8病院と精神衛生センターの医療関係者に対し、日本の精神科リハビリテーションの現状について現地セミナーを開催し、主に日中の精神障害者と保健医療福祉の現状について比較討議を行なった。その中で、日本は比して精神科リハビリテーションプログラムや社会保障が進んでおり、一方の中国は精神科リハビリテーションプログラムが少なく精神医療が中心であるため退院後の支援は家族に負うところが大きいことなどが判明した。また社会参加については日本では精神障害者を対象とした就労支援プログラムが拡大する傾向にあるが、一方の中国はそうした就労支援プログラムがなくても発症前の職場に本人の希望に応じて復帰しやすい社会状況があるなど、社会参加を推進する上での相違点が明らかになった。双方の医療関係者が精神障害者の社会参加を推進する上で役立つ情報を得ることができた。 このような状況理解を深めた上で、国内の研究分担者および中国の研究協力者とともに検討を加えて日中比較分析用の中国版質問調査用紙は完成した。そして中国調査は140名の研究参加者を得てデータ収集を終えることができた。現在は分析中である。 そこで最終年度に向けて残された課題は、日中の精神障害者の社会参加自己効力感とその影響する要因について統計的分析結果を明らかにすることと、米国の視察や資料に基づき得られた情報分析結果も踏まえ、国際比較研究の成果をまとめたいと思う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的や必要性を中国や米国の研究協力者が深く理解してくれているため、誠実な協力が得られており、視察・討議・調査の一部が順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点でおおむね順調に進んでいるため、最終年度の研究も基本的には計画通りとする。なおいっそう、調査結果の分析・考察を進め、こうした知見に詳しい研究者の集う国際学会にて討論する機会を持つこととする。また、本研究は国際比較研究であるため、調査結果の背景を考えるにあたり、現地国の精神障害者を取り巻く生活・医療環境状況を、より正確に理解することが研究精度に関係すると考える。そのため、現地の医療関係者や研究協力者と定期的な交流や意見交換を行なう。
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Research Products
(2 results)