2011 Fiscal Year Annual Research Report
グレブナー基底を応用した幾何定理証明アルゴリズムの新たな展開
Project/Area Number |
22500004
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森継 修一 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (50220075)
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Keywords | 数式処理 / アルゴリズム / 計算幾何 |
Research Abstract |
計算幾何における古典的問題から以下の2題について取り上げた。 (1)円内接多角形問題 「円に内接する多角形の各辺の長さをa_1,a_2,...,a_nとするとき、外接円の半径をこれらの変数の式で表せ」という問題である。今回の補助金によって導入したワークステーションを用いて、すでに2010年度中に六角形・七角形の場合に対する計算に(おそらく世界で初めて)成功していたが、本年度にはこれを査読付論文の形で発表することができた。この結果、本研究の先駆性を示すことができたと考えられる。 (2)シュタイナー環における「デカルトの円定理の拡張」 互いに外接または内接する複数の円からなる「シュタイナー環」と呼ばれる図形には、種々の関係式が成り立つことが知られている。特にn=3の場合に、各半径の関係を表す公式は「デカルトの円定理」と呼ばれている。本研究では、n=4,5,6と計算を進め、それぞれにおける関係式の導出を試みた。半径の間に成り立つ方程式は、それぞれ4次・24次・48次となることが確認できたが、これらの幾何学的な解釈は今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題として取り上げた「円内接多角形問題」では、論文が査読付学術雑誌に採録された。また、引き続き取り上げた「デカルトの円定理の拡張」の課題においても一定の進展があり、次年度中には何らかの形で成果を公表できるようにしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題名そのものと比較すると、これまでの成果には以下のような特徴がある。 ●対象とした問題では、「グレブナー基底」の算法より、古典的な「終結式」による算法の方が有効であった。 ●あえて分類すれば、「証明アルゴリズムの研究」というよりは「不変式の導出の研究」に属する問題にシフトしてきている。 ただし、「和算研究への応用」は当初より視野に入れた研究計画であったので、短期的には、現在着手中の課題に集中して、確実な成果を期す予定である。
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