2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牧野 和久 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (60294162)
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Keywords | アルゴリズム / 列挙 |
Research Abstract |
近年,情報科学分野ばかりでなく,工学,化学,医学など様々な分野で列挙アルゴリズムが広く用いられており,その重要性が認識されている.本研究では,この列挙アルゴリズムの基礎的な研究を行うことで, 列挙アルゴリズム理論の構築を目指すとともに,実用的でかつ品質保証された高速な列挙アルゴリズムの開発を行うものである. 本研究では,効率的なアルゴリズムが知られていない列挙問題にターゲットを絞り,列挙問題の基礎研究を遂行する.本年度は,昨年度の研究に引き続き,1990年代にDowney,Fellowsによって考案されたパラメータ化計算量を利用し,列挙アルゴリズムを開発すること,また,その解析法を開発することを目的とした. 具体的な成果の一つとしては,2,あるいは,3次元ユークリッド空間中に点集合が与えられているとき,原点を含む単体を効率的に列挙する方法を開発した.また、効率的な列挙アルゴリズム開発のための手法をほかの問題に適用可能であることを示した.たとえば,論理積標準形として与えられるブール関数の解集合が連結であるかどうかを判定する問題を考察した.この問題は,PSPACS完全という計算量的にかなり困難な問題である.この連結性判定問題に対して入力がkー論理積標準形のときにO((2-c)^n)時間アルゴリズムを構成した.ここで,cはkに依存する定数,nは論理関数の次元を示す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,様々な列挙問題に対して効率的なアルゴリズムを開発,あるいは,理論的な計算複雑度を示している.これらは,列挙アルゴリズム論の構築に向けて非常に重要なステップである.また,効率的な列挙アルゴリズムのための手法や解析の考え方が他の問題にも適用可能であることを示しつつあるという点も本研究を評価するにあたり重要なポイントである.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,列挙アルゴリズムの基礎的な研究を行うことで, 列挙アルゴリズム理論の構築を目指すとともに,実用的でかつ品質保証された高速な列挙アルゴリズムの開発を行うこと目指している. 今後も理論研究に重点を置き,研究を進めるが,実用性も考慮にいれて研究を行う.とくに,アルゴリズムを実装し,計算機実験を行うことで,理論保証のための予想,あるいは,証明法の手がかりにすると同時に理論的成果の検証も行う.また,実用性のために既存のアルゴリズムと比較などを行い,より実計算機環境にも適用できる効率的なアルゴリズムの開発を目指す. それ以外にも,効率的な列挙アルゴリズムのための手法や解析の考え方を最適化問題やオンライン問題,探索問題に適用することも行う. これらの研究を加速化させるために,国内外の著名な研究者と意見交換や共同研究を行うことが必要不可欠である.
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