2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
牧野 和久 京都大学, 数理解析研究所, 准教授 (60294162)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | アルゴリズム論 |
Research Abstract |
近年,情報科学分野ばかりでなく,工学,化学,医学など様々な分野で列挙アルゴリズムが広く用いられており,その重要性が認識されている.本研究では,この列挙アルゴリズムの基礎的な研究を行うことにより,実用的でかつ品質保証された高速な列挙アルゴリズムの開発を目的とするとともに,列挙構造や列挙アルゴリズムのアイデアを用いることにより,列挙以外の問題,たとえば,最適化やオンライン問題などの効率的なアルゴリズム開発を目指した.本年度は,特に,後者の列挙構造や列挙アルゴリズムで培ったアイデアを他分野の問題に適用して大きな成果を収めている.具体的には,インターネットなどでのインターラクティブにリグレットを最小化しようというデータベース分野で研究されていた問題に対して,この列挙アイデアを用いることにより実用的なアルゴリズムの構成に成功している.また,オンライン問題の中で,特に,オンラインナップサック問題においてキャンセルコストを考慮に入れたモデルを考察し,そのすべての場合において最適な競合比を求め,またそれを達成するオンラインアルゴリズムを構成した.ここで競合比とは,オフラインの下での最適値とオンライン状況下で達成できる目的関数値の比をいう.それ以外にも,ネットワーク最適化における信頼度を考慮したサーバ配置問題などを考察した.この際,信頼度が弱い領域,すなわち.カット値が小さい点部分集合の構造を,列挙アイデアを用いて考察することで,多くの知見を得ている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,列挙構造や列挙アルゴリズムのアイデアを用いることにより,列挙以外の問題の効率的なアルゴリズム開発に成功している.とくに,データベース分野のリグレット最小化やキャンセルコストを考慮したオンラインナップサック問題など大きな成果を収めている.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,この列挙アルゴリズムの基礎的な研究を行うことにより,実用的でかつ品質保証された高速な列挙アルゴリズムの開発を目的とするとともに,列挙構造や列挙アルゴリズムのアイデアを用いることにより,列挙以外の問題,たとえば,最適化やオンライン問題などの効率的なアルゴリズム開発を目指している.今後は,後者に力点を置き,列挙構造や列挙アルゴリズムで培ったアイデアを他分野の問題に適用することを目指す. これらの研究を加速化させるために,国内外の著名な研究者と意見交換や共同研究を行うことが必要不可欠である.
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