Research Abstract |
最大クリークを抽出するためにこれまでに開発してきた深さ優先探索分枝限定アルゴリズムを,実験的に詳細に検討を行い,その有効性をより一層具体的に明確にした. その結果に基づいて,最大クリークを抽出するアルゴリズムの理論的計算量評価を進めた.このために,これまでに確立してきている,極大クリーク全列挙の最適(optimal)アルゴリズムCLIQUES(Theoretical Computer Science,2006)を基本として,それを最大なクリーク1個だけを抽出する様に限定することにより,探索領域削減を達成した.その結果として,対象グラフの節点数に対して最大次数がその対数オーダーである場合に,NP完全な最大クリーク問題が多項式時間的に解けることを,非常に単純なアルゴリズムと解析により,明確な定量的結果を与えた.これは,最大クリーク問題の多項式時間的可解性に関しての従来のほとんどの結果が特殊グラフについてであったことに対し,本結果は一般グラフに対する極く自然な条件付けの上のものであることが大きい特徴である. 更に,上記最大クリーク抽出アルゴリズムを,節点に重みを持つグラフの場合に拡張し,重み最大クリークを抽出する効率的アルゴリズムを開発した.それを基として,無向木間の編集距離を効率よく計算する手法を開発し,バイオインフォマティクスの問題解決に効果的に活用出来ることを明らかにした. 以上の他,画像処理や計算論的学習理論に関する幾つかの成果を上げた.
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