2011 Fiscal Year Annual Research Report
命題論理の証明の複雑さに関する計算量理論からの解析
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22500012
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
垂井 淳 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 准教授 (00260539)
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Keywords | 証明の複雑さ / 証明の長さ / 計算量理論 / 命題論理式に対する証明系 / ランダムCNF |
Research Abstract |
平成23年度には次の成果発表を行った。 1.クラスACOに属するブール関数に対するノイズ下での効率的学習:ACO関数に対する効率的学習については、Linialら(1993)がブール関数に対する調和解析を用いて肯定的結朱が示された。この結朱のノイズ確率が既知の場合への拡張がBshoutyら(2002)によって示された。我々はこれをさらに拡張し、ノイズ率が未知の場合も効率的学習が可能であることを宮田・富田・垂井の共著学術雑誌論文として発表した。 2.明示的ブール関数fの回路計算量、すなわちfを計算する論理回路の最小サイズについて現在知られている最大の下界はIwamaら(2005)によって与えられた5nである。Iwamaらの手法をさらに精密化することでより大きな下界を得ることができるのではないかという予想もあった。我々はこの予想を否定すること、すなわち、Iwamaの枠組みでは5nより大きな下界を示すことが不可能だ示すことに成功し、この結果を天野・垂井の共著として学術雑誌に発表した。 3."Large-Scale Dlstributed Computation"をテーマとする湘南会議において、ストリームにおける重複発見の計算複雑さについて招待講演をした。この問題は命題論理において非常によく研究されている鳩の巣原理に密接に関連しているものである。決定的計算の場合については、通信計算量の問題にいったん帰着し、さらにそれを回路計算量の問題に帰着させるという興味深い手法により、よい下界を与えることに成功しており、乱択計算の場合の計算複雑さの決定が未解決問題として残っている。このトピックと結果については、平成23年11月にデンマークのオーフス大を訪問した際にも講演した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
命題論理式に対する証明系のうちで活発に研究されている限定された系は、深さが限定された論理回路と密接に関係しているが、回路計算の複雑さについては、平成22年度および23年度それぞれにおいて、複数の結果発表に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
命題論理の鳩の巣原理に密接に関連する、ストリームにおける重複発見の計算複雑さについての研究を学術雑誌において発表するとともに新たな結果を得るべく研究を進めたい。
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