2011 Fiscal Year Annual Research Report
緩クリーニ代数を用いたシステムの遷移系モデル簡略化
Project/Area Number |
22500016
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
古澤 仁 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科(理学系), 准教授 (00357930)
|
Keywords | 緩クリーニ代数 / べき等半環 / 半束 / 表現定理 / イデアル完備化 |
Research Abstract |
本研究は,システムの遷移系モデルを自動的に簡約化する方法論を確立することを目的とする.緩クリーニ代数を用いると,「遷移系=項,双模倣関係=等式」として扱うことが可能である.本研究では,緩クリーニ代数の項を(等価性を保ちながら)自動的に簡約化する手続きを明らかにすることにより,目的の達成を目指す.簡約化手続きは,自由代数の具体的構成法から導かれると予想される.昨年度緩クリーニ代数の部分クラスである完備べき等左半環が二項関係および二項多重関係によって表現可能であることを示したが,ここで与えた埋め込み写像は,完備べき等左半環の単位元を二項多重関係全体のなす完備べき等左半環の単位元にうつすとは限らないなど,多少奇妙な振る舞いを示す.今年度は,この奇妙な振る舞いが,分配律を弱めたことに起因して起こるのか否かを検証するために,完備べき等半環の表現定理について考察を行い,埋め込み写像の奇妙な振る舞いが分配律を弱めたことに起因するわけではないということを確認するとともに,完備べき等半環が理想的に表現可能であるための十分条件を与えた.この結果により,完備べき等左半環が理想的に表現可能であるための十分条件も得られるのではないかと予想される. 加えて,べき等半環のイデアル完備化についても考察をおこない,イデアル完備化が完備上半束の圏から上半束の圏への忘却関手の左随伴を与えることを示す方法に対して,上半束をT代数上の上半束へ一般化すると,例として,完備べき等半環の圏からべき等半環の圏への忘却関手の左随伴を扱えるようになることを示した.この結果を完備べき等左半環とべき等左半環の間の関係に応用できなれば.緩クリーニ代数の具体的な自由生成の方法を与える大きな手掛かりになるであろう.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
完備べき等半環の自由生成は,クリーニ代数の自由生成の手がかりを与えており,しかも,自由完備べき等半環は,自由モノイドのべき集合という極めて単純な構成により得られる.よって,緩クリーニ代数の具体的な自由生成の方法を与える手がかりを得るために,緩クリーニ代数の部分クラスである完備べき等左半環の自由生成について考察をおこなおうとしたが,完備べき等半環ほど単純にはいかないことが分かり,試行錯誤の状況が続いているため進捗がやや遅れている.
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度行ったイデアル完備化に関する考察と同様,より一般論的な観点から自由生成の具体的な方法を探るアプローチも取り入れると見通しがよくなるのではないかと考える.
|
Research Products
(7 results)