2011 Fiscal Year Annual Research Report
Glushkovオートマトンの拡張に基づくPOSIX正規表現の効率的照合手法
Project/Area Number |
22500019
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
奥居 哲 中部大学, 工学部, 准教授 (00283515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 大郎 会津大学, コンピュータ理工学部, 准教授 (90272179)
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Keywords | 正規表現 / オートマトン / POSIX |
Research Abstract |
現在、幅広く利用されているPOSIX正規表現の諸実装は、(1)最左最長規則に正しく準拠できていない、(2)準拠はしているがバックトラックをおこなうため場合によっては実行効率が著しく低下する、(3)アルゴリズムの正当性が証明されていないため根本的な誤りが発見される場合がある、といった改善すべき問題点が挙げられる。そこで、Glushkovオートマトン(あるいは、ポジション・オートマトンとも呼ばれる)として知られる枠組みを独自に拡張することで、(1)~(3)の問題点を解消した正規表現の新たな照合アルゴリズムを明らかにし、その正当性の証明を与えるとともに、その効率的実装を行おうとうのが本研究の目的である。 3年計画の第2年度である本年度は、昨年度考案・公表した拡張ポジションオートマトンの構築アルゴリズムおよびそれに基づくパターン照合アルゴリズムの試験実装、実行効率の検証実験、さらに実験結果に基づくアルゴリズムの最適化の研究課題に取り組んだ。また、昨年度に進めたアルゴリズムの厳密な正当性証明の洗練とそれを出版するための作業に取り組んだ。前者においては、本研究の手法を食欲(greedy)照合の場合に応用するための研究にも着手した。これは当初の研究計画には含まれていないが、研究を進める中で新たに行うことにしたものである。食欲戦略は本研究が対象とする最左最長戦略と並んで重要なあいまいさ除去の戦略である。実用上幅広く利用されていることから本研究の手法が適用可能であることを明らかにする意義が大きいため、当初計画を一部修正して優先的に取り組んだ。この結果、従来知られている最も効率的な手法のひとつ(Freche&Calldelli 2004)と比較しても、本研究の手法のほうが更に高速であるケースが多く見られることが実験的に明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部当初計画にはなかった研究項目(食欲戦略への応用)が加わったため研究の優先順序を若干修正したが、おおむね当初計画の通り進んでいる。一方、(研究分担者の震災の影響で)本年度の成果の論文としての年度内の公表が間に合わなかった点が改善すべき点として挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である本年度は、(1)昨年度の検証実験の結果に基づき、拡張ポジションNFAからDFAを生成するアルゴリズムを完成させ照合アルゴリズムのさらなる効率化をはかることと、(2)昨年度から着手した新たな研究項目である食欲戦略への応用の2つに取り組む。同時に、昨年度の研究成果のうち論文としての公表が遅れているものについて早急に作業を進める。
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Research Products
(4 results)