2011 Fiscal Year Annual Research Report
グルーコードを削減するモジュールのバインド方式に関する研究
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22500038
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
荻原 剛志 京都産業大学, コンピュータ理工学部, 教授 (90231224)
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Keywords | ソフトウェア開発効率化・安定化 / ソフトウェア学 / 組込みソフトウェア / バインディング / 手続型言語 / ソフトウェアコンポーネント |
Research Abstract |
本研究では、手続き型言語のモジュールを相互に連携可能なバインド機構としてcovalを新たに提案している。covalはモジュール間で共有される値を保持し、同時に、値が変更された場合には関連づけられたコールバック関数を呼び出す機能を備えている。手続き型言語のモジュール間の連携の仕組みとしてcovalを用いることにより、既存のソースプログラムの書き換えやグルーコードの追加を抑えることが可能となり、ソフトウェア開発の生産性向上が期待できる。 平成23年度においては、組込みシステム開発へのcovalの適用手法について検討を行った。組込みシステムの分析・設計では、現在でも構造化モデリング手法が広く利用されている。そこで、システム分析で用いられるデータフロー図(DFD)にcovalが記述できるように記法を拡張した上で、小規模ないくつかのシステム設計を試みた。その結果、複数のプロセス間で共有される値が存在する場合、データフローの代わりにcovalを利用してシステム分析を進めることができることが判明した。構造図への変換、さらにcovalを利用するソースプログラムの記述も容易に行うことができる。 この成果は、covalを実際のシステム開発に利用するための手法を提案したという点に意義がある。さらに、広く利用されている開発手法の拡張によってcovalを利用したシステム開発が可能になるという事実は、既存のソースコードにcovalを導入することも、同様に容易であることを示しており、手法の実用性の観点から重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
提案したバインド機構が、研究レベルにとどまらず、実際の組込みソフトウェア開発に利用できることを示すことができた。一方、対外的な成果の公表という面では十分とは言えない。
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Strategy for Future Research Activity |
さまざまな動作環境で利用できなければ、covalを利用したモジュールをソフトウェア部品として活用することはできない。現在のcovalはマルチスレッド環境での動作について考慮されていないため、共有変数の相互排除、およびコールバック関数の実行頂序の制御について検討を行う。ただし、このことによってcoval自体の構造が複雑になったり、動作のオーバーヘッドが増加したりするのでは組込みシステムでも利用できるという利点が損なわれる。このようなトレードオフに十分留意しながら研究を進める予定である。
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