2010 Fiscal Year Annual Research Report
反復型数値計算における収束過程の可視化による高速化支援
Project/Area Number |
22500044
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
森 眞一郎 福井大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20243058)
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Keywords | 可視化 / 超高速情報処理 / ハイパフォーマンス・コンピューティング / 計算物理 / ユーザインタフェース / リアルタイム処理 / 並列・分散処理 / インタラクティブ・スーパーコンピューティング |
Research Abstract |
[残差分布可視化システムの大規模数値計算問題への拡張]従来から開発を行っている可視化フレームワークを拡張し、数万次元を超える大規模問題に対しても収束過程での残差分布を可視化可能な機能拡張を行った。この際、従来の2次元的な情報提示だけでは重要な現象を見落とす可能性がある。そこで、解くべき問題を表現する行列データに対応するシティマップ上に変数毎の残差をマッピングするとともに、分布状況を3次元的に可視化するフレームワークを構築した。さらに、反復計算の進行とともに急激に減少する残差に対して、その分布状況の時系列を視覚的に追従可能とするための動的スケーリングの機能を追加した。これにより、200万元を超える大規模疎行列問題に対して収束過程の実時間時系列可視化を可能とした。 [残差拡散制御による高速化手法の適用可能性の評価と数学モデルの構築]Matrix MarketやFlorida Matrix等の公開データを用いて、残差拡散制御の適用可能性を評価し複数のデータに対して有効性を確認した。この際、同一の行列データに対しても、初期値の与え方によって収束パターンが異なる様子が上述の可視化フレームワークを用いることで視覚的に確認可能となった。また、係数行列や右辺ベクトルの個々の要素の大きさを考慮した相対的な残差マッピングを行うことで、収束速度が低下した状態での個々の残差の重要度を再評価する枠組みを構築し、更なる高速化支援に結び付ける可能性があることを発見した。 [反復計算過程の多次元可視化によるデータマイニング]多次元可視化を支援するタイルドディスプレイを用いた高精細可視化システムの実装法について検討しプロトタイプ実装を行った。多次元可視化により収束速度が低下する状況が目視で観測可能となったが、現時点では振動現象の発生を明確に特定するには至っておらず、今後も継続して現象の観測・解析ならびに解析支援の可視化手法の検討を行う予定である。
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