2011 Fiscal Year Annual Research Report
超並列コンピュータ向け高効率通信アルゴリズム開発・評価手法の研究
Project/Area Number |
22500052
|
Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
石畑 宏明 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 教授 (90468885)
|
Keywords | ハイパフォーマンスコンピューティング / ネットワーク / 可視化 |
Research Abstract |
研究代表者が開発を続けてきた,新しい方式に基づくネットワークシミュレータ(mfa)について,従来から使われているパケット方式のシミュレータとの比較を行い,成果を情報処理学会の論文誌に発表した.この論文では,従来型のネットワークシミュレータBooksimと本方式によるシミュレータについて,種々のサイズのネットワークを用いて統計的手法による比較の結果を報告している. 本方式では,FatTreeなどの通信のホップ数の小さいネットワークでは比較的精度の高い結果が得られるが,辺の長さの長いmesh・torusでは,誤差が大きくなることが示された.ネットワーク中のスイッチでのアービトレーションモデルの違いによる差は,アービトレーションの段数が多くなるほど大きくなるためである. この誤差を小さくする方法として,新たに「ポートアービトレーションモード」を検討している.この方法は,ネットワーク中のリンクを通過するメッセージのバンド幅を決定するのに,従来はそのリンクの最大バンド幅を,そこを通過するメッセージ数で割って近似していたものを,通常のスイッチが行うように送信元から順次メッセージを中継しリンクごとにそのバンド幅を決定していくようにしたものである.本モードはまだ実装中であり,その試作評価は来年度実施する予定である. シミュレーション結果の可視化に関しては,ネットワークトポロジを比較的自然に表示する事が出来るメッシュ・トーラス系のトポロジに加え,FatTreeトポロジの三次元表示手法を考案し,学会発表した.FatTreeをそのままトポロジ表示すると,著しく横長になり全体の様子を把握するのが困難になる.そこで,FatTreeの各階層をグループ化し,グループごとにまとめて3次元空間中に配置する方法を考案した.トポロジ上で近い場所にあるものは近く,遠いものは遠くに配置され,全体の状況把握を容易にした.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シミュレータについては,試作評価を行い,1万ノード以上の大規模ネットワークのシミュレーションも少ないリソースで可能であることを示した.評価の結果判明した,「特定の構成のネットワークで誤差が大きくなる」問題に対しても,解決方法を考案した.
|
Strategy for Future Research Activity |
本課題で開発した通信アルゴリズムの開発・評価環境は,ネットワークシミュレータを使用しているが,これにとどまらず,実機を使用した場合にも適用ができると考えている.そのためには,実機でプログラム実行中のログを採取しそれを変換して本環境で解析する様なパスがあればよい.京のような大規模なシステムに対応するためには実機対応は重要な機能であると考える.
|