2011 Fiscal Year Annual Research Report
頻繁なノード参加における分散ハッシュ表の高速な検索アルゴリズムの開発
Project/Area Number |
22500064
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
島 和之 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (40263438)
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Keywords | オーバレイネットワーク / 分散システム |
Research Abstract |
分散ハッシュ表では,あるキーに対する担当ノードを検索するためにオーバレイネットワークを用いる.オーバレイネットワークを構成するために多数のアルゴリズムが提案されており,アルゴリズムがオーバレイネットワークの性能に影響する.オーバレイネットワークのアルゴリズムを評価するためには,実際に通信を行う実験や仮想的に通信を行うシミュレーションによる方法などがある.実験による方法では,より現実に近い結果を得られると期待されるが,多数のノードからなるオーバレイネットワークを構成することは難しい.シミュレーションによる方法では,多数のノードからなるオーバレイネットワークを構成することは可能であるが,その結果が現実に近いことが重要である.本研究では,実験とシミュレーションにおいて同一コードでアルゴリズムを実装可能なOverlayWeaverを用い,PlanetLab上の実験によって得たデータとシミュレーションによって得たデータとを比較した.その結果,統計的に有意な差があることを確認し,第9回情報科学技術フォーラムにて発表した.データの差の原因として,マルチスレッドによる実時間シミュレーション方式であったことが考えられる.マルチスレッドを用いると,1つのCPUで複数ノードの処理をシミュレートできる.しかし,ノード数が多くなるにつれてCPUの負荷が高くなり,1つのCPUで1つのノードを処理する実験と比べて処理時間の差が大きくなる.そこで,単一スレッドによる離散イベントシミュレーション方式を採用し,実験とシミュレーションにおいて同一コードでアルゴリズムを実装可能なシミュレータを新たに開発した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、実験とシミュレーションにおいて同一コードでアルゴリズムを実装可能なシミュレータ、および、そのアプリケーションを開発することができた。その成果を、国際会議1件(査読付き)と国内会議2件(査読なし)で発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、様々な条件においてシミュレーションと実験を行い、その結果をまとめ、学術論文誌に投稿する。 具体的には、ノードの参加と離脱が頻繁に生じる条件において、従来手法と提案手法とを比較するシミュレーションを行う。ノード数が急激に増加していく状態、ノード数が平均的に一定となる定常状態、ノード数が減少していく状態などに分類し、手法の違いによる特性の違いを比較する。 さらに、提案手法を適用したアプリケーションの有効性を確かめるため、実証実験を行う。
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