2011 Fiscal Year Annual Research Report
大局的構造と局所的構造の異種複合構造を俯瞰するための情報可視化技術の開発
Project/Area Number |
22500081
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三末 和男 筑波大学, システム情報系, 准教授 (50375424)
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Keywords | 可視化 / 情報可視化 / 複合構造 / 企業活動情報 |
Research Abstract |
本研究で言う異種複合構造とは、全体としてある大局的構造を構成する要素が、大局的構造とは異なる局所的構造を備えるような複合構造を意味する。大規模構造を対象とした情報可視化の研究はこれまでも行われているが、大局的構造を構成する要素そのものの構造までは配慮されていない。本研究はそのような要素の構造を無視することなく、大規模な大局的構造とそれを構成する要素群を同時に俯瞰できることを目指す。構成要素群を構造的な観点で俯瞰可能にすることで、情報活用における高次知識発見の可能性を拓くことが期待できる。本課題に対して、これまでにプロジェクト管理データ(バグ管理データ)を可視化対象としたプロトタイプ第1版を開発している。第1版では、複合構造としては、大局的構造は木構造、局所的構造は線形の状態遷移に絞った。大局的構造に関しては、Treemapをベースにした表現スタイルを採用し、局所構造にはガントチャートを単純化した表現スタイルを採用した。今年度は計画に沿ってプロトタイプ第1版によるケーススタディを実施した。オープンソースソフトウェアの開発プロジェクトの公開されている管理データ約20,000件を収集し、そのデータを利用したプロジェクトの分析を試みた。そしてその経験に基いてプロトタイプの大幅な改良を行いツールとしての完成度を飛躍的に向上させた。大局的構造の表現はTreemapをそのまま採用したが、局所的表現は表示領域の制約を考慮し、個々の状態遷移の表現方法、それらのグループとしての表現方法、状態遷移のベースとなる時間軸の表現方法などに工夫を施し、分析者が様々なオプションを選ぶことができるようにした。プロトタイプ第2版では異るデータ構造への対応を計画していたが、それについては、大局的構造は木構造であるが、局所的構造として時系列チャートを埋め込むもの、大局的構造としてグラフ構造を備え、局所的構造として行列構造を備えたものに挑戦した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初より計画していたプロトタイプ第1版は順調に開発が行えた。平成23年度の改良によりツールとしてもかなり完成度の高いものを実現できた。異るデータ構造への対応を目指した第2版は表現手法の検証に留まっておりツールとしての完成度は未熟であるが、今後のフレームワークの検討には十分に貢献するものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
技術開発に関しては、これまでの成果を基に引き続きプログラムの改良や、ツールとしての充実を計る予定である。ただしこれまでの経験から、複合構造の表現を、視覚的表現としてより効果的なものとするためには、局所的な表現におけるさらなる技術整理が必要ということが分ってきた。そのため統合フレームワークの開発の前に局所的構造の表現技術にも注力する予定である。また平成24年度は計画の最終年度であるため、成果発表にも注力し、国内外の学会への積極的な投稿を進める。
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