Research Abstract |
インターネットに代表される大規模ネットワークでは,多種多様の情報の交換が活発に行われており,流通する情報量は年々増加している.これらの情報の大部分を占めるのはピアツーピア(以下P2P)と呼ばれるネットワークシステムの形態を用いたもので,ユーザ間での情報共有を円滑に行らことを可能としている.P2Pでは,共有コンテンツの取得に要するコストを削減する目的で,その複製(レプリカ)を複数個,ネットワーク内に配置するが,その配置位置や数を工夫することにより,情報共有のコストを削減できる.しかし,これまでの申請者の研究では,共有情報の更新については十分に考慮されていなかった.そこで本研究では上記の研究に,共有コンテンツが最新のものに更新される際にも,レプリカを含むすべての共有情報の一貫性を維持する機能を付加する手法を確立する.これにより,ユーザは最小限のコストで情報共有を行いながら,同時にコンテンツの取得先によりバージョンが異なるような不都合から解放される.今年度は,最初のステップとして,効率的な更新伝播を考慮したコンテンツ配置手法の検討を行った.この研究段階では,これまでに申請者らが検討してきた,ハイブリッド型P2Pネットワーク上でコンテンツの効率的な配置および共有を行う手法を基礎に置き,その上でコンテンツに更新があった場合に,そのレプリカに更新情報を送信することで一貫性を保ち,コンテンツの更新頻度,および他のピアから参照される頻度(人気度)を考慮しながら,コンテンツの更新と参照が常に最も小さいコストで行えるような位置にあるピアに各コンテンツおよびそのレプリカを動的に配置し続けてゆく手法を考案した.また,計算機シミュレーションにより,その有効性を確認した.
|