Research Abstract |
インターネットに代表される大規模ネットワークでは,多種多様の情報の交換が活発に行われており,流通する情報量は年々増加している.これらの大部分を占めるもののひとつは,ピアツーピア(これ以降P2Pと記す)と呼ばれるネットワークシステムにより送受信される情報であり,このシステムはユーザ間での情報共有を円滑に行うことを可能としている.P2Pでは,共有コンテンツの取得に要するコストを削減する目的で,その複製(レプリカ)を複数個,ネットワーク内に配置することがよく行われるが,その配置位置や数を工夫することにより,共有情報のコストを削減できる.しかしこれまでの,申請者らを含む多くの研究者により行われてきた研究では,ネットワーク上での共有情報に更新が発生することで,ユーザが取得するコンテンツに必ずしも一貫性を持たせることができないという問題が顕在化していたにも拘わらず,それについては十分に検討されてこなかった.そこで,本研究では,共有コンテンツが頻繁に最新のものに更新される状況を前提とし,コンテンツの更新の際にも,レプリカを含むすべての共有情報の一貫性を維持する機能をこれまでの情報共有システムに付加するための手法を確立することを目的とする.これにより,ユーザは最小限のコストで情報共有をしながら,同時にコンテンツの取得先によリバージョンが異なるような不都合から解放される. 今年度は,コンテンツが部分的に更新される状況への対応を検討しており,コンテンツを小単位に分割して別々のピアに格納することで,各ピアのストレージに収まりやすく,ダウンロードの際の各ピアおよびネットワークへの負荷を分散する効果を持たせた手法を提案した.また,更新を差分として制御して,バージョンとして多段階に管理できるためのアイデアも加えている.提案手法の効果は計算機シミュレーションにより評価しており,現在まで継続中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画として示した内容をほぼ遂行している.23年度の提案方式の計算機シミュレーションによる評価はまだ完全には終了していないが,次年度の計画に予め示してあるように,24年度の前半までに完了すれば予定通りである.
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ,研究は順調に遂行されており,大きな問題は生じていない.今後は,23年度の提案方式に関する計算機シミュレーションを用いた評価を終了させ,さらにその改良を図る.特にシステムのスケーラビリティの確保が重要な問題であり,それを実現する手法を検討する.
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