2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22500098
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
上原 稔 東洋大学, 総合情報学部, 教授 (70256775)
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Keywords | 軽量クラウド / ストレージサイド計算 / 過飽和 |
Research Abstract |
既存Webサービスにおいて巨大データを操作しようとすると、ネットワークの隘路のために効率的な処理が困難である。本研究では、データの存在するストレージ側に処理を委託することでストレージと計算を統合する軽量クラウドを構築する。この統合型軽量クラウドでは、アプリケーションの処理の一部をモバイルエージェントとしてストレージ側に移送し、サンドボックスとしてアクセス権を管理した上でクラウド上のデータへのアクセスを許可する。また、コピーなどのファイル操作を遅延処理することで隠ぺいし、ユーザの使い勝手を向上させる。 本年度では、クラウドの軽量化のためにIaaS(Infrastructure as a Service),PaaS(Plat form as a Service),SaaS(Software as a Service)の階層化を行った。IaaSでは過飽和状態(資源利用率が100%を超える状態)の概念を導入し、従来比10~100倍の軽量化を実現した。PaaSでは安全なシングルテナント型と安価なマルチテナント型について試作を行った。シングルテナント型でも過飽和クラウドを用いることで軽量化が可能である。マルチテナント型PaaSはCloudFoundryを用いて試作した。SaaSでは、ストレージサイド計算のアプリケーションとしてクラウドストレージを連携する電子図書管理システムを開発した。 また、高度なストレージを構築するため、VLSDに重複排除、高信頼化機能を取り入れた。重複排除は全体的な容量効率の改善に効果がある。特に、複数の類似仮想マシンを稼働させる場合、重複排除の効果は大きい。高信頼化機能としてRAIDの新手法(NaryRAID,MeshRAIDなど)を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の震災のため研究費の一部支出が遅れたことで若干の遅れが出ている。しかし、研究は当初の計画以上に多方面にわたって発展する可能性があり、両者の成果は相殺され、全体として順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
計画当初、PaaSは少数の言語にしか対応していなかった。しかし、その後多数の言語に対応するPaaSが登場し、主流となりつつある。この流れは重要であり、逆らうことは賢明ではない。そこで、特定言語専用のモバイルエージェントを開発するのではなく、過飽和クラウドを中核とする汎用システムへ移行する。過飽和クラウドは最下層のIaaSから適用可能であるため、その他の層でも有効である。
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