2010 Fiscal Year Annual Research Report
人体通信を利用したウェアラブル機器の設計に関する研究
Project/Area Number |
22500106
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 健 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (40178645)
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Keywords | ウェアラブル機器 |
Research Abstract |
本年度は人体通信に関する数値電磁界解析を中心に進めた.解析手法にはFDTD法を採用した.従来,人体通信の伝送効率は送信電圧と受信電圧の比で評価される場合が多く,電極構造としては送信機が2電極接触,受信機が1電極接触の方式が最適とされてきた.しかし,2電極接触の送信機においては2つの電極を介して体内に閉回路が形成され,この部分を流れる電流が信号伝送に寄与していない無駄な電力消費となっていた.人体通信が利用されるのは小型情報機器であり,省電力化は必須の課題である.本年度は人体通信を応用する際に設計者に必要な伝送モデルに関する知見を集積するため,通信に必要な電力という観点で解析を進めた.具体的には人体通信機器を腕部に装着するタイプを想定し,送受信機の電極構造と通信に用いる搬送周波数を設計パラメータとして信号電圧および電力の評価を行った.解析条件は,基板サイズ30mm×20mm,電極サイズ10mm×20mm,電極接触条件は1電極接触または2電極接触,受信電極間インピーダンス1kΩ~20kΩ,搬送周波数は1MHz~200MHzとした.その結果,受信信号電力を送信回路側の電力消費で除した値で評価した場合,送信機と受信機ともに1電極接触の方式が最も値が大きくなることが分かった.これは,同じ受信電力を得るために必要な送信回路の電力が最小であることを意味しており,実用機器の設計にとって重要な知見となる.解析した条件の範囲で比が最大となったのは搬送周波数10MHz,受信電極間インピーダンス5kΩの場合であった.最適条件は基板と電極サイズおよび装着する部位に依存するため,今後は装着部位を変えた解析を進めるとともに実験による定量的な検証を進める予定である.
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