2011 Fiscal Year Annual Research Report
異なるモダリティによる対話型自然言語の韻律機能の分析
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22500148
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
堀内 靖雄 千葉大学, 大学院・融合科学研究科, 准教授 (30272347)
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Keywords | 対話型自然言語 / コミュニケーション / プロソディ(韻律) / 日本語音声(聴覚言語) / 日本手話(視覚言語) |
Research Abstract |
日本語音声や日本手話における対話型自然言語において、会話における実時間コミュニケーションを制御する話者交替は重要な研究課題である。今年度は日本語音声と日本手話における話者交替現象について分析を行った。Sacksらの話者交替規則によれば、話者交替は移行適格場(TRP:transition relevance place)付近で生じ,TRP以外では原則的に話者交替は生じないとされている。対話型自然言語では、このTRPを予測可能とする特性(投射可能性:projectability)があると言われている。日本語音声では統語情報に加え、声の高さ、話速等の韻律により予測を可能としていることが示された。一方、日本手話では統語情報に加え、手の動きや顔の動きの大きさ、速さ等がTRPの予測に利用されていると示唆された。また、オーバーラップが生じる話者交替においては、日本語音声と日本手話で顕著な差が表われた。日本手話ではTRP後に言換えや繰返しの表現が表出することが多いが、その場合、手や顔の動きの大きさや速さ等の韻律が消失したり、弱化したりし、発話権の譲渡が明示される現象が見出された。これらの分析結果から,視覚言語と聴覚言語の違いが話者交替に与える影響が明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画は妥当であり、ほぼ予定通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で得られた韻律に関する各種知見について、その韻律を変化させた言語資料を合成し、主観評価実験により各種知見の認知的妥当性を検証する予定である。
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