2012 Fiscal Year Annual Research Report
画像空間とパラメータ空間での処理を併用した画像プリミティブ抽出手法の開発
Project/Area Number |
22500156
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
村上 研二 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (30036446)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2014-03-31
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Keywords | 画像処理 / 画像認識 / 画像理解 / 画像プリミティブ / ハフ変換 |
Research Abstract |
平成24年度は,先に提案した直線抽出手法の性能評価の結果から明らかになった「太さのある直線を抽出する際の問題点」の解決方法を検討するとともに,円や楕円プリミティブの抽出手法を開発するための基礎的な検討を行った。その結果,次のような成果が得られた。 1)太さのある直線を抽出する際の問題点の解決 太さのあるディジタル直線に対して提案手法を適用すると,一本の直線に対してρ-θパラメータ空間上の極大値付近にかなり大きな投票数をもつ無意味な直線パラメータが複数個存在する。そこでここでは「投票数が最大のパラメータ(ρ,θ)を抽出すると,その付近のパラメータ(ρ±αΔρ,θ±αΔθ) への投票数を0に書き換え,このパラメータの直線が抽出されないようにした上で,次に多い投票数の直線パラメータを抽出する。この操作を閾値を超える投票数をもつ直線パラメータが無くなるまで繰り返す。」という方法でこの問題を解決した。なお,αの最適値は,ΔρとΔθの大きさや入力画像上のディジタル直線の太さ等にも影響を受けるが,ここでは,実験による結果から,α= 3に設定すれば無意味な直線の抽出をほぼ避けられることを明らかにした。これにより,本研究で開発した直線抽出手法の実用上の問題点が解決されたため,提案手法を論文としてまとめ,学会誌に投稿,掲載されることが決定した。 2)楕円(円)プリミティブ抽出手法開発のための基礎的検討 これまで考察してきた直線よりもより複雑な円や楕円などの画像プリミティブを高速・高精度に抽出するための方法について基礎的な検討を行った。その結果,「中心線特徴」と呼ぶ楕円(円)プリミティブを効率良く抽出するための新しい特徴を発見・提案した。この新しい特徴を使えば,本研究で既に開発している直線抽出手法を用いて楕円(円)プリミティブの存在(位置や大きさ等)を見つけることができるという大きな利点がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
画像認識・理解を行う上で欠かせない「画像プリミティブの抽出」を高速・高精度に行うための手法を開発することが本研究の目的であり,これまでの3年間は,画像プリミティブの中でも最も基本的で重要な直線プリミティブについて,その抽出手法の開発,開発した手法の直線プリミティブ抽出能力(速度・精度)の検証,開発した手法の実用上の問題点の解消等の研究を行った。その結果,本研究で開発した手法の優位性が確認できたため,論文としてまとめ,学会誌に投稿,掲載されることが決定した。また,直線よりもより複雑な円や楕円などの画像プリミティブを高速・高精度に抽出するための手法についても検討を開始し,これらの画像プリミティブを抽出するための新しい特徴(「中心線特徴」と呼ぶ)を発見・提案した。この新しい特徴を使用した楕円(円)プリミティブの抽出手法の開発については現在検討中であるが,このように順調に研究成果が得られていることから自己点検による評価は区分(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究の成果に基づき,本研究の最終年度となる平成25年度は次のように研究を推進する予定である。 1)直線プリミティブ抽出手法の検針作業の自動化への応用:各種プラントを制御するコントロールルーム内には未だに多くのアナログメータが存在しており,このメータの検針作業の自動化は,既存プラントの有効活用のためにも不可欠である。ここで行おうとする研究は、アナログメータを含むコントロールルーム内を撮影した画像データを取り込み,これにSobelフィルタを適用して得られた2値画像から,本研究で開発した直線抽出手法を用いて針の角度を読もうとするものである。これにより,提案の手法の実用的な意味での有効性が示されることになる。また,Sobelフィルタを適用して得られた2値画像に含まれる直線プリミティブは多くの場合「太さ」を持つため,平成24年度の研究で開発した「太さに対する対策」が,今回のような実際の問題に対して実用的な意味でどのような効果を発揮するのかも確認できることになる。 2)楕円(円)プリミティブの抽出手法の開発:ハフ変換を用いる場合,円を抽出するには3次元パラメータ空間内での探索が,また楕円を抽出するには5次元パラメータ空間内での探索が必要であるため,実用時間内での処理は困難である。今回利用しようとしている「中心線特徴」は,これらの探索を1次元または2次元のパラメータ空間内での探索(直線プリミティブの抽出)に置き換えるもので,この特徴を取り入れた楕円(円)プリミティブの抽出手法の開発の意義は大きい。ただ,この「中心線特徴」の個数は,円や楕円を構成する画素数の2乗に比例して増加するため,この個数の増加に対する対策の立て方が手法開発のポイントとなる。 3)これまでの研究成果のまとめ:4年間の研究で得られた研究成果をまとめ,この成果が今後多くの研究者に利用されるよう,成果の公開に努める。
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