2011 Fiscal Year Annual Research Report
確率的処理を活用した屋外での低演算量高精度シルエット抽出とその追跡
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22500162
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
西谷 隆夫 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (00389206)
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Keywords | 影除去 / シルエット抽出ハード / ピクセルフロー / アドレスフリー / アフィン不変モーメント / 隠れマルコフモデル / 歩容認識 / 輪郭 |
Research Abstract |
シルエット抽出では前景分離で発生する影を除去する必要があり、これを従来の画素ベースとは異なり変換領域の確率的な特性を活用することで従来法の1%未満で実現する方法を確立し、国際学会ICASSP2011で発表した。その後、室内で実験を行なうと影除去がうまく働かないことがあることを検出して、その対応に苦心した。しかし、この問題もICASSP-2011と変わらない程度の演算で実現する方法を確認した。これは平成24年度には論文化する予定である。 この間、シルエット抽出の前段階となる前景分離ハードウェアの設計方式の検討を行い、空間変換処理と時間処理の混在する方式で、処理方法を変更する部分をバッファメモリなしに実行するAddress Free/Pixel Flowアプローチを導入し、その結果を本年3月(平成23年度)に行われたICASSP2012で発表した。ソフトウェア制御のマルチプロセッサ方式をFPGAで実現するアプローチをとったため、開発ツールも自作となり、本年3月に行われた国際学会SASIMIにてプロセッサ開発とは明確に述べていないが基本方式を提案した。このFPGAは時分割で演算回路を多重使用でき、内部メモリを排除し、かつ、固定小数点演算で良いため、アルゴリズム上の演算量は8 Giga Operation per Secondであるが150mWの消費電力で良い。ASIC化すると30mWとモバイル端末に搭載可能である。 一方、シルエットからの歩容認識も検討を進め、従来から注目していたアフィン不変モーメントのアプローチと、精度が高いことが期待される隠れマルコフモデル法を屋外環境で行なった既開発のシルエット抽出法で行なった。実験結果としては、前者の性能は後者の性能よりはるかに高いことが分かったが、これは屋外撮影に起因するシルエットの輪郭部精度が問題であることが分かった。つまり、隠れマルコフモデルではフレームごとの輪郭の影響が敏感に反応するためである。この輪郭部の精度を向上させることが平成24年度の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
影除去は思わぬ落とし穴にはまったが、改良方式は従来法の1%以下で実現できる方式を確立できた。この論文誌発表が遅れていることは残念であるが平成24年度中には実行したい。ハードウェア化も新設計法を確立でき、国際学会で発表できた。さらに、歩容認識の問題点も理解できた。このため論文誌投稿が遅れているものの、進捗状況は進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に成果を挙げたものの、国際学会での発表止まりであった影除去とハードウェアの論文誌投稿を行うことがまず第1目標である。その後シルエットの輪郭精度の向上をすすめ、現在96%より少し高い認識率を99%程度まで上げる(ただし、携帯端末応用を考えているので10名程度の友人を対象にしている)。また、ベースとなる前景分離は、固定カメラかパン・チルトカメラを想定していたが、平成23年度に試みた前進カメラでの前景分離も可能性が高まっており、こちらの方も進める。演算量が極端に少ないため、ロボットやスマートフォンにも搭載可能で、屋外でのコンテンツ理解への基本技術として道を開きたい。
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