Research Abstract |
カプセル内視鏡画像で撮影された映像において,病変は小腸内壁に存在する.前年度の成果であるGI色特徴を使用し,小腸内壁に限定した色成分を使用し,その応用である病変部の画像強調を行い,有用性を確認する.まず,病変の大まかな位置を画像上で教示し,その領域のGI色ヒストグラムで表してヒストグラム均等法で色分布が均一になるように変換する.そのGI色分布をRGB空間に逆写像することで,画像強調を実現する.提案手法の有用性を評価するため,4人の医師に依頼し,Given Imagingの読影ツールで提供されている既存の画像強調ツールFICEと比較を行った.対象画像は60枚の病変を含む画像で,128x128画素の領域を教示領域として画像強調を行った.提案手法は,医師B,Dから最高評価を得られなかったが,常に2番目以上の評価を受け,有用性が確認できた. 類似領域の検索には,色情報が手掛かりになるが,複数の被験者の映像を比較すると,小腸の内壁の色も異なる.評価実験では,被験者12人において,各被験者10,000枚で,総計120,000枚の画像を用いた.画像の色成分を除去した輝度画像では,被験者間で輝度のコントラストに違いが見られた.そこで,第一特異ベクトルが,皺・空洞部・病変に関係なく現れる成分であることから,全ての画像から第一特異要素を除去すると,淡いコントラストが明瞭になり暗い部分や皺の影が強調された.次に,第一特異要素を分離したことで,被験者間で類似画像検索が行えることを検証する.検索画像として,被験者AとFの画像列から1枚づつ取り出し,全画像に対し類似度を求めると,第一特異要素分離後は,他の被験者からの画像も抽出された.また,抽出された画像を10人のアンケートによる主観評価した結果,分離後画像は自動検索結果と同様,本人以外の画像列から似ていると判定された.
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Strategy for Future Research Activity |
個人特徴は画像の見え方に依存することが明らかになった.ある形状毎の画像を個人毎に収集することによって,個人特徴が抽出できるが,様々な形状に対して,密な形状変化を示す画像群を収集することは容易でない.そこで,疎な画像群から求めた個人特徴を基に,形状が異なる場合の個人特徴を推定することで,密な形状に対する個人特徴を推定することを残りの研究期間で遂行する予定である.
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