2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22500185
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
内川 惠二 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (00158776)
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Keywords | 視覚情報処理 / 色覚 / 質感知覚 / 心理物理学 / 感性工学 / 金色知覚 / 表面反射特性 / 光沢感 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に行なった「金色」知覚の結果の解析を継続しつつ、さらに「銀色」と「銅色」知覚.について、その色度範囲を明らかにする事、光沢感の関係、及び表面明度との関係を明らかにする事を目的として心理物理実験を行った。実験刺激としては、表面の光沢、明度、色度の異なる球をCGにより作成し,表面の拡散反射強度は一定で鏡面反射強度を6段階に変化させ光沢感の異なる画像、拡散反射強度を3段階に変化させ表面の明度の異なる画像、また、表面色度の異なる画像(拡散反射色度36点)を作成した。被験者は(1)金銀銅色の色度範囲を求めるためのカテゴリカルカラーネーミング、(2)刺激の光沢感のマグニチュード評価、(3)金銀銅色の見えのマグニチュード評価を行った。その結果、刺激の光沢感が増加すると金銀銅色と知覚される色度範囲はそれぞれ拡大し、金銀銅色の強さも増加した。この結果は、人が金銀銅色を知覚する時、光沢感を与える視覚情報の一部または全体を利用している事を示唆し、さらにそのような視覚情報を処理するメカニズムが金銀銅色知覚のメカニズムに含まれるということを示唆する。一方表面の明度が増加すると金銀銅色の色度範囲は縮小し、金銀銅色の強さも減少した。解析の結果、同程度の光沢感と評価された表面であっても表面明度が増加するに従い、金銀銅色の強さは減少することが分かった。この結果は、人が金銀銅色知覚に表面の明度情報も利用していることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度に当初予定していた金銀銅色の色度範囲、及び金銀銅色の見えと光沢感の関係だけでなく、予定していなかった金銀銅色と表面明度との関係についても明らかにすることができ、当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の実験より、光沢感が増加すると金銀銅色の強さが増加するという結果が得られたが、本実験で用いた刺激は、光沢感が増加するとき金属感も増加する刺激であったため、光沢感があっても金属光沢がない表面(プラスチック等)については明らかとなっていない。金銀銅色の知覚メカニズムの解明のためには、それを明らかにすることは重要であり、最終的なモデルにはこの関係も含めることにする。
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Research Products
(4 results)