2010 Fiscal Year Annual Research Report
スピーチプライバシーを保護するアクティブサウンドマスキングシステムの構築
Project/Area Number |
22500187
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
佐伯 徹郎 山口大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (40249595)
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Keywords | スピーチプライバシー / アクティブサウンドマスキングシステム / 情報漏えい防止 / 個人情報保護 / 心理評価 |
Research Abstract |
本研究は、無意味なノイズで会話音声をマスクすることによって、大掛かりな防音工事を必要とせずに現状のままのオープンスペースにおいて、情報漏えいの防止や個人情報の保護といったスピーチプライバシーを確保する、アクティブサウンドマスキングシステムを構築しようとするものである。 個人情報保護に注目が集まってから、従来のスピーチプライバシー評価には存在しなかった設計要求が生じている。従来は、「音声としては聞こえるが単語は聞き取れない」「単語が聞こえる場合はあるが文全体は理解できない」といったレベルの要求であったが、「何も聞こえない」、「音声であるとわかる」、「音声の抑揚(リズム)が聞こえる」、「男女の性別がわかる」、「誰が話しているかがわかる」といったより厳しく詳細なレベルの要求となってきている。従来の研究では、単語明瞭度試験や了解度試験を行い、音声の中の音節・単語・文章の何パーセントを人間が回答できたかを測定することによりスピーチプライバシーを評価する方法がとられていたが、個人情報保護に着目した場合は、従来の単語明瞭度試験や了解度試験は要求されたレベルに関して表現不能に陥ることから意味を成さなくなり、実際にどのような状態であったかという人間の心理的判断が重要となる。どのような心理評価をどのような言語表現で行えばよいかを明確に規定しコンセンサスを得る必要がある。また、従来は、スピーチプライバシー評価に対応する物理指標として、信号対雑音比(SN比)を拡張した概念に基づく明瞭度指数AI、SIIなどが用いられてきたが、個人情報保護に関わる領域では、従来の物理指標を用いてスピーチプライバシーをコントロールすることは困難であることが示されている。スピーチプライバシーを保護するために最適な物理指標を見出す必要がある。 以上のような観点から、心理実験をもとに、情報漏えい防止や個人情報保護のためのスピーチプライバシーを確保するアクティブサウンドマスキングシステムを設計・試作・構築する。平成22年度では、スピーチプライバシーの心理評価方法の確立した。具体的には、設計要求事例や文献を分析し、どのような心理評価をどのような言語表現で行えばよいかを明確にした。さらに、音声とノイズのスペクトルの関係がどのような状態であればどのような心理評価となるかについて、心理実験をもとに調査した。
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