2010 Fiscal Year Annual Research Report
大きな両眼網膜像差による人間の空間認識における運動の役割
Project/Area Number |
22500188
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
佐藤 雅之 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (40336938)
|
Keywords | 両眼視差 / 運動視差 / 単眼性立体効果 / 奥行き反転 / 空間周波数 / 周期数 / 情報統合 / 奥行き知覚 |
Research Abstract |
1. 大きな両眼網膜像差による奥行き知覚における刺激の運動による促進効果の運動方向依存性について検討した.テスト刺激として固視点を挟んで2つの点を呈示し,左右方向または上下方向にこれらの点を動かした.また,2つの点を同位相または逆位相で動かした.その結果,左右方向に逆位相で動かした場合にのみ奥行き知覚が促進されることが明らかになった.これは,刺激の動きそのものよりも運動視差が重要であること,また,観察者の移動方向に効果が依存することを示唆している. 2. そこで,実際に観察者に動いてもらい,左右方向の動きと前後方向の動きにおける奥行き知覚の促進効果を比較した.左右方向ではこれまでの研究によって示されているように,顕著な促進効果が見られたが,前後の運動ではそのような効果は見られなかった.この実験では,固視点と小さな円形のテスト刺激のみが呈示された.今後は,テスト刺激の偏心度や点の数などのパラメータを変えて,ここで示された運動方向依存性の普遍性を明らかにすることが必要である. 3. 単眼性立体効果における刺激の運動の影響について検討した.両眼刺激の場合には,両眼の刺激が融像しないほど大きな視差をもつ刺激において運動による奥行き知覚の促進効果が確認されたが,単眼刺激の場合には,そのような効果は見られなかった.これは,両眼の刺激が融像しないとしても,両眼に刺激が呈示されることが重要であることを示している. 4. 奥行き反転の空間特性(周波数および周期数)について検討した.周期数が重要であることが明らかになった.1周期の余弦波ではしばしば反転が見られたが,1.5周期では皆無であった.
|