2011 Fiscal Year Annual Research Report
心の健康維持のためのEmotional Fitnessの実践と検証
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22500193
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
亀井 且有 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (20161234)
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Keywords | Emotional Fitness / AT(無酸素性作業閾値) / ニューラルネットワーク / コルチゾール / ファジィ制御 / リアルタイム心拍計測装置 / 心拍数制御 |
Research Abstract |
1.AT(Ananerobic Threshold,無酸素性作業閾値)の推定 心拍数からATを推定するアルゴリズムを提案した。まず、トレッドミルを用いた走行実験で心拍数を計測し、走行速度と心拍数二乗の関係をシグモイド関数で近似し、AT推定アルゴリズムを提案した。次に、心拍数および走者の主観情報を入力とし、提案手法より算出したATを出力とするニューラルネットワークモデルを構築し、モデルを検証した。その結果、入力情報に走者の体力自信度を加えることにより、AT推定ニューラルネットワークモデルの精度が上がることが明らかとなった。最後に、ストレス指標であるコルチゾール濃度を唾液から測定し、推定ATとコルチゾール濃度の関係から走者のストレス評価を行なった。その結果、アンケート項目の体調がよい、または運動が好きであると回答した走者は、AT時の心拍数よりも高い心拍数で運動を行うとコルチゾール濃度が増加することが明らかとなり、そのような走者に取って、AT以上の心拍数での走行はストレス増加につながることが確認できた。 2.音楽聴取による走者心拍数のファジィ制御 運動のテンポを作る信号として音楽を用い、運動中に聴取する音楽をファジィ制御にもとづいて切り替えることにより、心拍数の制御を行った。まず、被験者の音楽聴取による心拍数の上昇・下降変化モデルを作成した。次に、ファジィ制御のためのメンバーシップ関数、ファジィルールを作成し、心拍数モデルを用いたシミュレーション実験を通してルールとメンバーシップ関数の最適化を行った。最後に、実際の走者心拍数のリアルタイムファジィ制御を行い、その有効性を示した。なお、心拍数をリアルタイムで計測できる装置が無いため、無線式心拍計の液晶表示を画像処理によりリアルタイムで心拍数を読み取り、制御器へ送るリアルタイム心拍計測装置を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Emotional Fitnessを実現するための2つの生理指標を提案した。一つは加速度脈波におけるHF/LFであり、他方はコルチゾール濃度である。また、これら指標と主観的指標である二次元気分尺度との関係も明らかとなった。さらに、音楽聴取による心拍数制御、すなわち運動強度制御もファジィ制御を用いることが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
残る課題は、Emotional Fitnessのための最適な運動強度(心拍数)を走者毎に決定する手法を開発する必要がある。最適性の評価には、加速度脈波におけるHF/LFおよびコルチゾール濃度を指標にすることを考えている。また、走者の運動経験による個人差の扱いについても、AT(無酸素性作業閾値)を基準値として用いることが有効と考える。また、Emotional Fitnessの実用化(実践)における課題として、心拍数あるいは脈波のリアルタイム計測装置のハード化および音楽選曲システムの小型化をあげることができる。
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