2011 Fiscal Year Annual Research Report
文字探索課題における見落としエラー発生の脳内メカニズム
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22500197
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
矢内 浩文 茨城大学, 工学部, 講師 (10222358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 美徳 東北大学, 教育情報基盤センター, 教授 (20218556)
赤羽 秀郎 茨城大学, 工学部, 准教授 (50192886)
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Keywords | カウント実験 / 日本文 / ひらがな / 漢子仮名交じり文 / 文脈依存性 / 人間の情報処理 |
Research Abstract |
研究の1年目は、それまで数年にわたり試行的に、統制の低い条件で実施してきた「の」カウントテストを、均一な環境で、かつ統制の高い方法で実施した。また、カウント・エラーの原因を探る目的で、条件の異なる課題に対する結果を対比した。即ち、自然文と、その自然文を文字単位でランダムソートした課題文(単にランダム文と呼ぶことにする)の結果を対比したところ、見落としエラーはランダム文で有意に少ないことが判明した。このことは、課題では意味把握を求めないにもかかわらず無意識に意味を把握してしまうこで探索エラーが生じている可能性を示唆している。2年目は、1年目の結果およびそれ以前に得た知見を踏まえ、次の観点で研究を行なう計画を立てた。(1)「の」の前後の文字種の影響。即ち、「の」の前と後が平仮名であるのか漢字であるのか、それによってエラーに差が現われるのかどうか。(2)ワーキングメモリー負荷の影響。即ち、カウントを頭で行なう場合と、カウントはせず、見つけた「の」に印を付ける場合の違いである。その結果、(1)については、「の」の前の文字が漢字である場合に、平仮名である場合に比べてエラーが多く発生することが分かった。(2)については、2条件間で差がある結果とない結果が混在しており、引き続き検討する必要がある。3年目(研究計画の最終年度)の本年度は、これまでの結果の分析、考察に加えて、「の」出現パターン(文章中の「の」の位置)、句読点の影響なども実験条件に含めて検討すると共に、エラー発生機構のモデル化を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度実施予定であった実験および分析の大半が実施できた上に、「の」の前後の文字が見落としエラー発生に及ぼす影響という新たな観点での分析を導入することができ、現象の理解に一歩近づいたと言えるから。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに研究を推進する。ただし、当初は考えていなかった新たな観点を発見した(「の」の前後の文字種によるエラー発生率の違い)ため、現象の本質的理解に有効であると考えられるこの新たな観点を有効活用して行きたいと考えている。
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Research Products
(1 results)