2011 Fiscal Year Annual Research Report
探索点ネットワークを考慮した確率的多目的探索とその進化ロボティックスへの展開
Project/Area Number |
22500201
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
畠中 利治 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 助教 (10252884)
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Keywords | Particle Swarm Optimization / RoboCupサッカーシミュレーション3D / 進化計算 / 多目的最適化 / ネットワーク構造 |
Research Abstract |
RoboCupサッカーシミュレーション3Dにおけるサッカーエージェントの歩行動作の獲得問題に対して、PSO (Particle Swarm Optimization)を適用し、PSOを適用した際の性能を評価した。特に、適用のためのパラメータの設定を検証するとともに、進化戦略の一種であり最適化性能が優れていることがよく知られているCMA-ESを適用した場合の探索性能と比較し、PSOの収束性能が優れていることを示した。 一方で、多目的最適化問題にPSOを適用する際の、PSOにおける粒子(particle)間で、探索履歴に関する情報共有の範囲を設定する粒子のトポロジー(ネットワーク構造)を検討し、ランダムネットワークおよび、いわゆるスモールワールドと呼ばれるネットワーク構造の際の性能を検証した。すべての粒子が情報を共有できる全粒子が結合する状態と比べ、得られるパレート解候補の集合の多様性の観点でランダムグラフが優れていることを示した。また、PSOにおける多目的最適化では、粒子の動作モデルにおけるガイドを適切に選択する必要があるが、ガイド選択に対して、単一目的のもとでガイドを選択することにより、より拡がりのあるパレート解集合の要素を与えることができることを示した。 進化計算に代表される多点探索による多目的最適化問題の解法においては、解の収束性能と同時に、得られるパレート解の候補の集合の、拡がりと一様性が重要であり、本研究の成果はこれらの観点からより拡がりのある一様な要素を与える目的で重要な結果を与えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験的検討のためのソフトウエア開発は順調であり、今後は次数やクラスタ係数に対する依存性について検討を進める準備が整っている。粒子のネットワーク構造の適応的構成についてはやや遅れているが、ランダムグラフを用いた場合の性能が示されているなど成果もみえはじめている。今後は次数やクラスタ係数に対する依存性について検討を進めることが可能である。一方で、応用としてのRoboCupサッカーシミュレーション3Dにおけるサッカーエージェントの歩行動作獲得への展開では、一定の成果が得られ、2012年度には雑誌論文を投稿することが可能な状態になっている。これらのことから、おおむね順調と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
PSOの確率的多点探索法の側面の議論を深めるため、国内外の進化計算の研究コミュニティでの成果発表を継続的に行うとともに、研究動向の調査を続けていく。また、探索の収束性に関する議論を行うため、確率近似法の解析に関しての専門的知識の教示を福井工業大学の魚崎教授に受けるほか、同教授のグループとの共同研究を進めていく予定である。 さらに、粒子(探索点)の変数空間内での挙動は、群知能や社会科学におけるエージェントシミュレーションとの関連があることから、こういった分野の研究成果も調査し、探索性能の改善のための知見をまとめていくことを計画している。
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Research Products
(8 results)