2011 Fiscal Year Annual Research Report
ラフ集合不完全情報解析の新展開とそのデータマイニングへの応用
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22500204
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
酒井 浩 九州工業大学, 大学院・工学研究院, 教授 (60201513)
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Keywords | ラフ集合 / 粒状計算 / データマイニング / 相関ルール / 不完全情報 / 非決定情報 / アプリオリアルゴリズム |
Research Abstract |
昨年度に続き、決定情報表の下で提案・応用されているラフ集合理論を不完全情報表も処理する体系に広げ、拡張された体系におけるデータマイニングの枠組み、処理アルゴリズム、実験システム(プログラム)の作成、等を進めた。 最も進んだ部分は、実験システムの高速化と処理環境の整備である。論理型言語の特徴をうまく利用することで実験システムを実現しているが、実行速度の面において論理型言語は劣ると考えられる。この問題に対して、論理型言語を手続き型言語に変換し、コンパイルする手法を応用してみた。結果、いずれのプログラムにおいても実行時間が半分以下に短縮された。本手法は論理型言語に付随したツールを応用したものであるが、実行環境構築においてかなり有効な手法となった。実行例については、http://www.mns.kyutech.ac.jp/~sakai/RNIAにおいて公開している。今後、Java言語への変換も検討しており、最終的には本実験システムのウェブ上での公開を図ることにより、本研究課題の理論的側面の広報もなされると考える。 理論的側面においては、新たに非決定情報表における「分割図」と「分割図表」を提案した。これは、統計分野でよく利用される「分割表(Contingency Table)」をルール生成のために焼き直し、改めて提案した図表である。この分割図と分割図表を利用し、従来、説明が難解であった定理に新たな証明を与えることができた。この図表を用いて、今後、統計分野との融合も検討したい。 研究代表者は、RSFDGrC2011国際会議(モスクワ)、GrC2011国際会議(高雄、台湾)において上記研究成果を発表しており、実績報告書後半部の7編の論文を出版している。また、プログラム委員長を務めたRSFDGrC2009国際会議を基にして、ラフ集合学会誌Transactions on Rough Set (Springer)特集号のゲストエディタを担当した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では、特にNIS-Aprioriアルゴリズムに基づくルール生成システムの改善が進んだ。Prolog言語で記述したプログラムをC言語に変換、コンパイルする手順を実施し、従来の処理時間をおよそ半分以下にできた。実際、本システムは10の100乗以上の場合分けが存在するデータを容易に処理し、リアルタイムにルールを取り出した。本システムの機能を広報するために、ホームページ上に実行例をアップしている。
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Strategy for Future Research Activity |
理論的にはかなり固まっており、情報の不完全性を扱う新たな枠組みとして本研究内容を広く発信する必要があると考える。最も望ましい発信手法は、本ソフトウェアのウェブ上での公開である。現状では、まだPrologが必要であるが、Java言語への変換ができれば一般のブラウザ上で本システムを稼働できる。そのために現在、神戸大学、田村研究室が公開しているシステムProlog Cafe (Prolog to Javaトランスレータ)の利用を検討している。NIS-Aprioriシステムの公開ができれば、従来にないルール生成処理を体験でき、本研究の理論的側面の浸透を図ることができると考えている。
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Research Products
(10 results)