2012 Fiscal Year Annual Research Report
自律的遺伝演算子に基づく進化型計算の理論的拡張および応用
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22500208
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
森 直樹 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90295717)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自律的遺伝演算子 / 進化型計算 / 遺伝的アルゴリズム / 遺伝的プログラミング / サポートベクターマシン / タマホコリカビ型遺伝的アルゴリズム / エピスタシス / 対話型進化型計算 |
Research Abstract |
本研究の主テーマである,進化型計算における自律的遺伝演算子の構築に関して,本年度は,まず遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm, GA) の拡張手法として タマホコリカビ型遺伝的アルゴリズム(Dictyostelium based GA, DGA)を提案し探索性能の優位性および探索ダイナミクスの解析をした. DGAは多様な問題において非常に高い性能を示しているが,ナップサック問題やだまし問題では,移動演算子とよばれる局所探索型演算子を導入すると可調整パラメータによって性能が劣化する.Nk問題においては移動演算子は有効であり移動演算子の探索の影響についての解析が必要とされている. そこで今年度は,遺伝子座ごとのエピスタシスに基づく新たな指標を提案し,DGA の探索ダイナミクスを移動演算子の局所探索量,移動演算子の適用時期,探索性能に関する数値実験結果を示して解析した. この他には,遺伝的プログラミング(Genetic Programming: GP) への SVM ノードの導入について検討し,学習データに対して GP のノードが自律的に適応するシステムによる実市場での取引実験をした.最後に,自然言語処理における対話的進化型計算について実験し,マシン-ヒューマンインタラクションにおける遺伝演算子の自律性の重要性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,大きく分けて自律的遺伝演算子の必要性を明らかにすることと,ソフトウェアライブラリの作成の2つの目的がある. これまでのところ,前者についてはタマホコリカビ型遺伝的アルゴリズムにおける移動演算子の提案を中心に,具体的な手法を複数提案し,そのいずれについても十分な成果が上がっている. 本年度は,新たに遺伝的プログラミングにおいて,ノードがサポートベクターマシンにより自律的に学習し,問題構造を反映した適切な遺伝子表現を可能とする斬新な手法および自然言語処理への応用についても検討している. 後者に関しては,個々のアプリケーションは完成しており,後はその統合をするのみという状態である. 以上の理由より本研究はおおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も,前年度と引き続きタマホコリカビ型遺伝的アルゴリズム(DGA)による最適化手法,SVM ノードを有する GP, 自然言語処理における対話型進化型計算の3 つの課題を柱に,具体的な研究を推進する予定である. DGA についてはエピスタシスと自律的遺伝演算子の融合を中心により複雑な実問題への適用を考える.特に,移動の自律的なアルゴリズムについては十分な検討をする.GP については,問題に適した SVM カーネルを自律的に得る手法を考案し,探索性能の向上を図る.自然言語処理については感性工学との融合を目指し,人間の認知に根ざした自律的遺伝演算子理論の構築をする.特に,これまで扱いが不可能とされてきた絵に関する内容の自律的進化について枠組みをまとめ,フィールドワークと併せて研究を進める. 最終年度なので,上記の内容を学会および論文にて発表し,最終的には自利的遺伝演算子の概念を取り入れたライブラリーの作成をする.
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