2011 Fiscal Year Annual Research Report
ベイズ神経回路網の研究と隠れマルコフ鎖推定への応用
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22500213
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 嘉房 愛知医科大学, 客員教授 (10022774)
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Keywords | 隠れマルコフ鎖 / ベイズ判別関数 / 神経回路網 / 学習 |
Research Abstract |
隠れマルコフ鎖は、直接は観測されえない複数の状態の連鎖である。生成される信号の確率分布は状態に依存する。その時点までに観測された信号をもとに、その時点における状態をベイズ推定し得る神経回路網の構築が研究の目的であり、その主要部はベイズ判別関数の学習が可能な三層神経回路網である。 ベイズ判別関数は状態に依存するので、この推定には複数のベイズ判別関数の学習が必要で、それらが神経回路網により学習されなければならない。それには、通常、複数の神経回路網が必要であるが、ベイズ判別関数が何らかの意味で相互に類似している場合、単一の神経回路網に若干の素子を装備して、複数のベイズ判別関数が学習できるアルゴリズムをわれわれは開発している。 研究は、ベイズ判別関数を学習し得る神経回路網の構築と、それを用いての隠れマルコフ鎖の推定の二段階に分かれる。平成23年度には、前年度に構築した神経回路網の完成度を高め、合成データによる隠れマルコフ鎖の推定を試みて成功した。満足すべき結果であったが、特に、状態の遷移が事前確率と確率分布の平均値の変化のみを意味する場合には、単一の神経回路網による複数の状態間の遷移が推定可能な回路網に構築に成功した。 他方、この研究結果の応用として進めている神経回路網によるマハラノビス判別関数の学習についても、アルゴリズムが改良され、その結果を平成22・23年度の国際学会で発表したが(23年度については11項参照)、その後の研究成果について、本年度の国際学会でも発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.確率分布が一次元正規分布の場合には、二状態の隠れマルコフ鎖の推定にシミュレーションにおいて成功し、アルゴリズムの正しいことが確認できている。 2.確率分布が二次元正規分布の場合にも、一定の条件下における単一の神経回路網による複数のベイズ判別関数の学習に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.さらに高次元の確率分布に対応可能な神経回路網の構築。 2.確率分布の非正規分布への拡張。 3.これまでは、合成データを用いたシミュレーションであったが、今後、実データについてもシミュレーションしてみたい。おそらくデータ数の不足がネックになると思われるが、その克服を試みたい。
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